フルキンチニブ 欧州医薬品庁が治療歴ある転移性大腸がんでの製造販売承認申請受理 武田薬品

 武田薬品は16日、フルキンチニブについて、治療歴を有する転移性大腸がん(mCRC)の成人患者の治療薬として欧州医薬品庁(EMA)が製造販売承認申請(MAA)を受理したと発表した。フルキンチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に高い選択性を有する阻害薬である。
 承認されれば、フルキンチニブは、治療歴を有するmCRC患者の治療薬として、欧州連合(EU)で承認された最初で唯一の、3種類のVEGF受容体すべてに対して高い選択性を有する阻害薬となる。
 フルキンチニブのMAAには、中国で実施されたP3相FRESCO試験からのデータとともに、P3相FRESCO-2試験から得られた結果を記載している。FRESCO-2試験は、治療歴を有するmCRC患者を対象に、フルキンチニブ+最良支持療法(BSC)群とプラセボ+BSC群を比較検討する、米国、欧州、日本およびオーストラリアで実施されたP3相国際共同臨床試験である。
 FRESCO-2試験は主要評価項目および重要な副次評価項目を達成し、統計学的に有意で臨床的に意味のある全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の改善がそれぞれ示された。これまでのところ、フルキンチニブの患者さんにおける忍容性は概ね良好である。
 今回の申請受理は、2023年5月25日(米国時間)に発表した米国FDAによる新薬承認申請(NDA)の優先審査指定に続くもので、FDAが設定した処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査終了目標日は2023 年11月30日である。
 2023年内には、日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)へのNDAの提出も予定している。フルキンチニブは、現在中国においてELUNATE®の販売名で承認を取得している。
 中国における承認は、2018年6月にThe Journal of the American Medical Association(JAMA)に掲載された(NCT02314819)、中国におけるmCRC患者さん416例を対象としたフルキンチニブのP3相ピボタル登録試験であるFRESCO試験の結果に基づくもの。
 2023年の3月、HUTCHMED社と武田薬品は、中国国外でのフルキンチニブのグローバル開発、商業化および製造をさらに進めるための独占的ライセンス契約の締結を完了しいている。

◆Awny Farajallah武田薬品のグローバルメディカル アフェアーズ オンコロジーヘッド(M.D.)のコメント
欧州の転移性大腸がん患者さんは、10年以上もの間、治療の進歩による恩恵を受けることができていなかった。EMAへの製造販売承認申請の提出について非常に嬉しく思っている。当申請は、進行疾患に苦しむ患者さんにこの革新的な治療薬をお届けするうえでの新たな一歩となる。患者さんのバイオマーカーのステータスにかかわらず、治療歴を有する転移性大腸がん患者さんの長年にわたるアンメットニーズに、フルキンチニブが対処できる可能性があると確信しており、申請プロセス全体を通して規制当局と協力していくことを楽しみにしている。

◆ Michael Shi HUTCHMED社R&Dヘッド兼チーフ メディカル オフィサー(Dr.)のコメント
 治療歴を有する転移性大腸がん患者さんの治療選択肢が限られているEUにおいて、フルキンチニブのこれまでの臨床プロファイルを踏まえ、患者さんと医師の皆様にフルキンチニブを選択していただける可能性を感じている。フルキンチニブの製造販売承認申請のEMAによる受理は、欧州の患者さんにとって治療の前進に向けての胸躍る最初の一歩であると確信しており、この目標を追い求めるうえで武田を支援できることを楽しみにしている。

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