セフィデロコル リアルワールドデータを用いた調査研究結果をIDWeek 2022で発表 塩野義製薬

 塩野義製薬は20日、新規シデロフォアセファロスポリン抗菌薬セフィデロコルについて、リアルワールドデータを用いた調査研究において、セフィデロコルによる治療を受けたアシネトバクター感染症患者の63%(48/76例)および緑膿菌感染症患者の63%(76/120例)で臨床的治癒が確認されたと発表した。 また、他に治療選択肢が無い患者に対するCompassionate useを含むセフィデロコルの承認後の初期使用によって得られたデータからは、セフィデロコルによる治療を受けた治療困難なグラム陰性菌感染症患者の80%(74/92例)で臨床的治癒が示されたことも明らかにした。
 これらの新規データは、10月19日~23日に開催される米国感染症週間(IDWeek)で報告される。
 セフィデロコルは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する新規のシデロフォアセファロスポリン抗菌薬。細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する3つの主な機序(ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、βラクタマーゼによる不活化、排出ポンプの過剰産生)による影響を受けずに抗菌力を発揮する。
 鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し、細菌内に能動的に運ばれる。
 その結果、セフィデロコルは細菌のペリプラズム内に効率よく取り込まれ、細胞壁合成を効率的に阻害する。
 実臨床でのグラム陰性菌感染症入院患者に対するセフィデロコルの有効性と安全性の評価を目的に実施中の国際的な後ろ向き観察研究であるPROVE(Retrospective Cefiderocol Chart Review)研究のIDWeekでの発表概要は次の通り。
◆有効性について
 セフィデロコルが処方されたアシネトバクター感染症の96%、緑膿菌感染症の97%はカルバペネム系抗生物質に耐性を示していたが、セフィデロコルは、アシネトバクター感染症患者の 63%(48/76)および緑膿菌感染症患者の 63%(76/120)で臨床的治癒を示した。
◆安全性について
 安全性と忍容性に関しては、これまでの臨床試験における安全性の結果とほぼ同様であった。220人の患者のうち、5人に副作用が報告されており、そのうち2人に発疹、1人に肝機能検査値の上昇、2人に下痢が報告されている。
 また、全患者のうち2人でセフィデロコルの投与が中止され、セフィデロコルによる治療を受けた患者のうち1人では、重篤な副作用(間質性腎炎)が報告された。
 アシネトバクターと緑膿菌が原因となった感染症において、79%の患者が生存し、21%の患者がセフィデロコルの投与開始から30日以内に死亡した(30日間の全死因死亡率)。

 一方、セフィデロコルの初期使用経験から得られたデータに関するIDWeekでの発表概要は次の通り。

◆治療の選択肢が限られている患者へのCompassionate useを含む承認後初期の使用経験の解析結果から、セフィデロコルによる治療を受けた、治療困難なグラム陰性菌感染症(緑膿菌およびアシネトバクターを含む)患者の80%(74/92例)で臨床的治癒が報告されている。
 有害事象報告は53例あり、そのうち13例(24.5%)は有害事象あり、40例(75.5%)では有害事象はなかった。

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