高齢者福祉向上・市民の健康寿命延伸で包括連携協定締結 石川県小松市とオムロン

ICT活用自立支援型介護予防ケアマネジメントを推進

 石川県小松市とオムロンは26日、高齢者の自立支援、介護予防・重度化防止に関する取り組みの推進と実証データ活用による市民サービス向上に向けた包括連携協定を締結した。
 同連携の締結は、小松市における地域社会活性化と高齢者福祉向上および市民の健康寿命延伸のためのICTを活用した自立支援型介護予防ケアマネジメントの推進などを目的としたもの。協定締結により、①高齢者の自立支援、介護予防・重度化防止に向けた効果実証、②小松市の地域包括ケアシステムおよびSociety5.0の実現に資する実証データ活用、③高齢者等の実証データを用いたエビデンスに基づく市民サービス向上のための小松市の取り組みの検討など、連携目的達成のために双方が必要と認める事項について連携する。
 近年、高齢者人口の増加にともない、要介護(要支援)の認定者数は689万人を超え、この20年間で約2.4倍と増加傾向にある。介護を必要とする高齢者の人数に対し、介護の担い手が不足する中、健康で自立した生活を送ることのできる“健康寿命の延伸”への貢献が、社会的課題となっている。
 一方、要支援者の半数程度は、生活の不活発による心身機能の低下が原因であり、重度化防止や状態の改善が可能であることがわかっている。こうした人々の心身機能を回復させ生活機能を向上し、社会参加へと繋ぐ「自立支援」という介護予防の推進が、“健康寿命の延伸”には必要不可欠だ。
 そこで、オムロンは、この社会的課題に対して「自立支援」がより広く実践されるためのサポートシステムを開発し、社会実装に向けた事業検証を2020年より開始している。
 小松市は、総人口に占める65歳以上人口の割合を示す高齢化率が2020年度の28.4%から2025年度には28.9%、2040年度には32.8%まで上昇すると見込まれている。
 その一方で、高齢者のいる世帯の平均人員は、1985年の4.42人から2025年には2.78 人に減少しており、家族介護力の低下などへの影響が危惧されている。
 これらの課題に対し小松市では、2021年から「第8期いきいきシニアこまつ推進プラン」を開始し、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年を見据え、地域包括ケアシステムの理念や考え方をより深化・推進するために住み慣れた地域で健康で安心して生きがいを持って暮らしていけるまちづくり・しくみづくりに取り組んでいる。
 その取り組みのひとつとして、介護が必要となることを予防し高齢者が自立した生活をおくれるようにするためのケアマネジメントでは、高齢者の抱える生活課題や阻害要因を聞き取り分析する「アセスメント」が重要で、介護や福祉などの知識だけでなく医療や保健など様々な領域の知識が必要となる。
 そのため、介護支援専門員(ケアマネジャー)だけでなく、地域のリハビリ専門職などの参画が求められているが、少子高齢化などによる専門職の不足が課題となっていた。
 そこで、2021年9月より小松市とオムロンは、ICTを活用した自立支援型介護予防ケアマネジメント推進に向けた共同研究を開始した。介護予防ケアマネジメントにおけるアセスメントに自立支援の専門職による思考過程やノウハウを反映した、オムロン独自のICTツールを活用しながら、ケアマネジャーが効率良く効果的なケアプランを作成できるよう支援に取り組んできた。
 その結果、2021年度は先行してシステムを試行した3カ所の高齢者総合相談センターで、「アセスメント工程」を客観的かつリハビリ専門職の視点も取り入れながら抜けもれなく進めることができ、高齢者のニーズに合わせた自立支援に資するプランニングへの質的効果が現れた。
 また、ICTツールの活用により、一定の業務効率の改善効果を確認している。現在では、市内全10ケ所の高齢者総合相談センターに同ツールを試行導入し、高齢者が抱える生活行為の課題分析および改善の目標設定を行い、高齢者の自立支援に資する効果的なケアプランの作成を始めている。
 今回の包括連携協定締結により、これまで以上に、ICTを活用した自立支援型介護予防ケアマネジメントを推進していくとともに、実証によって得られるデータや知見をもとに、小松市の地域包括ケアシステムおよびSociety5.0を実現できるよう、共同で地域の発展を促進する取り組みを進めていく。

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