4価弱毒生デング熱ワクチン インドネシアで承認取得 武田薬品

 武田薬品は23日、デング熱ワクチン QDENGA(4価弱毒生デング熱ワクチン、開発コード: TAK-003」について、インドネシア国家医薬品食品管理庁(Badan Pengawas Obat dan Makanan、BPOM)の承認を所得したと発表した。
 同承認は、4種すべてのデングウイルス血清型により引き起こされるデング熱の予防を目的としたもので、接種対象者は6歳から 45 歳。
 QDENGAは、デングウイルス感染歴を問わず、またワクチン接種前検査を必要としない、インドネシアで唯一承認されたデング熱ワクチンで、当局の推奨に従っての使用が必要となる。
 デング熱は、蚊が媒介するウイルス性疾患であり、発生地域が125カ国以上におよぶ世界的な公衆衛生に対する脅威となっている。
 近年、インドネシアには東南アジアでのデング熱感染者のほぼ半数が集中しており、世界でも最も高いレベルの感染に苦しんでいる。
 2022年上半期だけでもインドネシアではデング熱の感染者が6万3000人を超え、34州の455都市で600人近くが死亡したと報告されている。
 QDENGAの承認は、アジアおよび中南米のデング熱流行地域に住む4歳から16歳の健康な小児・若年層
被験者2万人以上を対象に進行中のグローバルP3試験であるTIDES 試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)のワクチン接種後3年間の結果に基づくもの。
 QDENGAは、それまでのデングウイルス感染歴に関係なく、ワクチン接種から3年後もデング熱症状および入院に対して全体的な予防効果があることを示している。
 QDENGAは、概ね良好な忍容性を示しており、現在までのところTIDES試験で重要な安全性リスクは認められていない。武田薬品が先日発表したTIDES試験での54 ヵ月間にわたる追跡調査での長期安全性および有効性の結果では、同ワクチンの有効性および安全性についての良好なプロファイルを改めて確認することができた。
 武田薬品では、今後数ヵ月内にワクチンが入手できるようBPOMおよび現地の医療専門家と連携していく。
 QDENGA は、小児および成人を対象とするデング熱疾患の予防のために現在、欧州連合(EU)における承認ならびに EU-M4all (旧称:Article 58)制度を通じてEU域外のデング熱流行国での承認に向けて規制当局の審査を受けている。他の国での使用は承認されていない。

◆Gary Dubin武田薬品グローバル ワクチン ビジネス ユニットプレジデントのコメント
 デング熱は、年齢や健康状態、社会経済状況を問わず、流行地域の住民や旅行者であれば誰でも感染のリスクがある。この革新的なデング熱ワクチンの開発は大きな挑戦であった。インドネシアでの承認は当社のみならず公衆衛生にとっても重要な成果と考えている。
 当社は、インドネシアの皆様にデング熱を予防する手段として QDENGAをお届けできることを光栄に思っている。引き続き全世界に向けて QDENGA を提供できるように全世界の規制当局と連携していきたい。

◆小児感染症を専門とするDr. Anggraini Alam, Sp.A(K)氏のコメント
 医師として、インドネシアでデング熱によって患者や地域社会が多大な負担を強いられている状況を目にしてきた。デング熱の感染には、身体的なダメージだけでなく経済的負担を伴うため、人々は常にデング熱の大流行や感染を恐れながら暮らしている。
 ワクチン接種は、インドネシアの医療関係者にとって媒介害虫である蚊の駆除に加え、デング熱の予防に関する大きな前進であり、大変喜ばしいことである。
 デング熱による負担を軽減し、より多くの人々を感染のリスクから守ることができる。

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