大規模なコロナ感染拡大で薬局が抗原定性検査キット無償配布に協力 大阪府薬

乾氏

 大阪府薬剤師会は8日、定例記者会見を開催し、乾英夫会長が、「5日に大阪府からの依頼があり、大阪府下の薬局が若年軽症者への医療用抗原定性検査キット無償配布に協力している」ことを明らかにした。
 薬局での同キット無償配布は、新型コロナ第7波による大規模な感染者増大で、発熱外来を実施する医療機関の逼迫崩壊防止を目的としたもの。
 大阪府薬が手上げ方式で抗原定性検査キット無償配布に協力する薬局を募ったところ1520薬局が応募。現在、約100軒の薬局で無償配布が実施されている。今後、大阪府から抗原定性検査キットの搬入が整い次第、順次府下1520薬局での配布がスタートする。定例会見では、伊藤憲一郎副会長から、「2022年度大阪府薬剤師会分業施策」についての説明も行われた。
 大阪府の医療用抗原定性検査キット無償配布の対象は、大阪府在住の若年軽症者(20~49歳)で、重症化リスクに該当する基礎疾患がなく、発熱や咳などの症状を有する人。無症状の人や妊婦は除く。
 医療機関を受診することなく、自己検査ができるのが同キット配布の大きな特徴で、希望者は当該薬局に対して必ず事前予約する。薬局では、年齢や居住地を免許所などで確認。窓口対応時間を簡略化し、多くの人に対応する。大阪府からの協力薬局への報酬は、同キット配布対応時間に応じて、1時間ごとに4000円支払われる(1日上限4万円)。
 一方、自己検査を実施し、陽性判定が出た者は、府の自宅療養支援サイトから、オンライン診療可能な事業所を選択し、情報を登録。登録された判定結果によりオンライン診療で確定診断、発生届の提出、治療薬の処方等が行われる。
 なお、同キットの配布は、今月27日まで実施される予定だ。
 乾会長は、「多くの薬局が検査キット配布協力薬局として手上げしてくれた。早く1500薬局で配布できるようになれば、該当する若年軽症者に検査キットが行き渡るようになり、医療機関の逼迫解消にも寄与できるだろう」との見解を示した。
 さらに、薬局における新型コロナの自宅療養等の患者に対する薬剤交付支援事業にも言及し、「予算の上限に達する見込みとなり本年7月31日までの実施分を以て本事業による補助を終了する」と報告した。
 薬剤交付支援事業終了後の配送料等については、「療養の給付と直接関係のないサービスとして患者と薬局が相談する」(乾氏)。

伊藤氏


 伊藤副会長が公表した2020年度大阪府薬剤師会分業施策は、①薬剤師・薬局機能の向上、②大阪府民への啓発、③地域・職域薬剤師会との連携と、新設された④薬剤師を取り巻く課題の検討ーを柱とする。
 ①では、「掛かり付け薬剤師・薬局の推進」、「地域連携薬局、専門医療機関連携薬局の認定に向けた取り組み」、「研究マインドを兼ね備えた薬剤師の育成(大阪府薬剤師会学術大会開催に向けた取り組み)」、「薬局DX・データヘルス集中改革プランに係る課題への対応」、「医薬品提供体制整備のための取り組み(対物業務の充実)」などを実施する。
 ②では、「後発品を安心して使用できる環境整備」、「データヘルス集中改革プランの普及促進」、「掛かり付け薬剤師・薬局の可視化の推進」を掲げている。
 ③は、「ブロック研修会開催支援」、「地域活性化事業の推進」、「地域・職域薬剤師会会員間の連携推進」、「地域におけるフォーミュラリ策定への対応」を行う。
 ④では、「処方箋40枚規制」、「敷地内薬局」、「調剤業務の委受託」、「医薬品の安定供給」等について、「府民が安心して医薬品を使用できる環境構築に向けて、薬剤師会としての考えを訴求していく」(伊藤氏)
 尾島博司大阪府薬剤師連盟会長は、同連盟の役員人事として「堀越博一氏が幹事長に就任した」と紹介。「3年後の本田あき子議員の参議院選挙を踏まえて、若い人が中心になって選挙活動に取り組める体制にした」と説明した。

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