持続可能な次世代錠剤包装「ESOP」の普及目指して協力会社・パートナー募集 モリモト医薬

軟らか錠剤包装 「ESOP」

 モリモト医薬は27日、同社が開発した持続可能な次世代錠剤包装「ESOP」の早期普及による医薬品錠剤包装の環境リスク軽減を目指して、協力会社およびパートナーを募集していると発表した。
 近年、サステナブル社会の構築やSDGs推進など、世界的に環境に対する関心が非常に高まっている。だが、医療関連の器材や包装は、感染防止の観点から再利用をせず一回使用での廃棄が当然のようになっている。
 こうした背景から、医薬品の包装パッケージに関しては、再生や再利用して使うなどの資源循環の意識は低い。
 現在、医薬品錠剤包装は、PTPシートが大部分を占めている。PTPシートとは、凸型を形成した樹脂シートとアルミニウム箔で錠剤を1錠ずつ包む包装で、指で押し出してアルミ箔を破り、薬を外に取り出す。
 この包装形態は、60年以上前より自動化による生産性に主眼を置いて導入されたもので、一部の改良を繰り返しながら現在まで使われてきた。
 樹脂シートの素材としては、PVC(塩化ビニル樹脂)が多く使われていたが、焼却時のダイオキシン発生リスク回避のために PP(ポリプロピレン樹脂)が一部導入されるようになった。
 だが、焼却炉の改良によりダイオキシン発生リスクが低減されたため、PVC が今なお大多数を占めている。PVCは、海外でもPTP に使われる基材で、成形性、シール性、透明性、押出し性に優れるている反面、防湿性に劣るデメリットがある。
 このようにPTPシートは、再生再利用し難い上に、アルミ箔が接着されているためアルミの分離が必要となり、使用済み PTPを回収するには独自の回収システム構築を要する。
 最近では、一部の企業が PTPシートなどにバイオマスプラスチックを用いるなど環境問題への取組みが始められている。とはいえ、環境問題解決を考えた場合、「廃棄ゼロ」を実現できる「再生可能な包装設計」の登場が一刻も早く待たれるところだ。
 この解決に資する医薬品錠剤包装として、モリモト医薬は、軟らか錠剤包装「ESOP(Easy Seal Open Pack)」を提案している。

再生再利用を見据えた錠剤包装で社会的問題をすべて解決

 新しい錠剤包装の軟らか錠剤包装「ESOP(Easy Seal Open Pack)」は、素材としてPVC以外の高分子樹脂の多層フィルムを使用している。PTPシートのようにアルミを使用していないため、「プラ」として分別収集が可能である。今後、樹脂の種類ごとに分離する技術の確立により再生再利用ができる。
 加えて、バイオマスプラスチックの使用により、カーボンニュートラル実現にも寄与できる。この樹脂は、ハイバリアフィルムを使用しているため、アルミピロー包装(2次包装)が不要でゴミの削減も可能だ。その他、ESOP特徴は次の通り。

① 軟らかいフィルムなので、誤飲した場合も消化管を損傷しにくい

② チャイルドレジスタンスとシニアフレンドリーを両立した設計

③ 1錠ごとに QR コードなどが記載でき、1 錠ずつ切り分けられ、個別に管理できるので、服薬管理にも有効なことから誤薬や残薬問題も解決できる。

④ 抗がん剤などの薬剤を外部に出すことなく、手に触れずに口に含み服薬ができる。

⑤ 丈夫なハイバリアフィルムなので、調剤時や携帯時に破れにくく安全である。

ESOPによる医薬品包装の標準化協議会への賛同企業・団体・大学も募集

 患者、医療従事者にやさしく、持続可能な次世代錠剤包装であるESOPを広く普及させ、サステナブル社会構築の一翼を担うことがモリモト医薬の理念である。
 同社では、環境に配慮し社会問題を解決できる新しい錠剤包装を普及するため技術特許とノウハウをオープンイノベーションとし、製薬をはじめ医薬品開発業務受託機関(CRO)、包材、包装、印刷企業など、パートナーとしての提携先を広く募集している。
 加えて、PTPシートでは成し得なかった規格、表示などの標準化を新包装で実現するため、「標準化協議会」の発足を提案し、賛同する企業(前述に加え IT、ソフトウェア関連)、団体、大学などを募っている。

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