心房細動の早期発見・早期治療をサポートする携帯型心電計新発売 オムロン ヘルスケア

Ⅰ誘導の場合:両手人差し指と中指を、本体おもて面の電極に触れて記録する

オムロン ヘルスケア 表は22日、不整脈のひとつである心房細動の早期発見・早期治療に役立つ「オムロン携帯型心電計HCG-8060T」を同日より日本国内で発売すると発表した。
 今回発売される携帯型心電計は、不整脈や動悸などの自覚症状を感じた時に自分で心電図を記録できる。記録した心電図を医師と共有することで心房細動の早期発見、治療をサポートする。

Ⅰ誘導心電図イメージ


 記録できる心電図は2種類ある。両手人差し指と中指を本体おもて面の電極に触れて記録するⅠ誘導心電図と、本体おもて面の電極に親指をあてながら左足(ひざ上または足首の内側)の肌と本体うら面の電極を密着させて記録する6誘導心電図だ。

6誘導の場合:本体おもて面の電極に親指をあてながら左足(ひざ上または足首の内側)の肌と、本体うら面の電極を密着させて記録する
 


 

6誘導心電図イメージ

医師の判読により、Ⅰ誘導では心房細動、6誘導では心房細動に加え心房細動以外の様々な不整脈の確認ができる。年間販売目標は、発売後1年間で3000台(国内)。

 心電図は同社のスマートフォン健康管理アプリ「OMRON connect(オムロンコネクト)」で表示される。さらに、アプリ上で「心房細動の可能性」など6種類のパターンで解析結果も確認できる。また、記録した心電図は印刷やメールにデータ添付ができるので、医師との共有も可能だ。

 心房細動は、早期に治療できれば完治する可能性が高まると言われてる。治療には、発症時に記録した心電図が必要である。だが、心房細動の症状は、いつ発生するか分からず、症状を感じても治まることも多いため、健康診断時だけで症状を感じている時の心電図を記録することは困難だ。また、当社で実施した心房細動に関する意識調査では、普段の生活で脈の乱れを感じたことがある人のうち約8割が「何もしていない」と回答しており、何らかの違和感を認識しつつも、その後放置している人が多いことがわかる(図1)

質問「脈の乱れを感じたときの行動について教えてください」 (脈の乱れを感じたことがあると回答した高血圧患者196名対象)

図1 回答結果(2021年3月 オムロン ヘルスケア調べ)

 「心房細動」が発症すれば、心臓の心房内に流れる電気信号が乱れ、心房が痙攣したように細かく震えて血液をうまく全身に送り出せなくなる。血栓ができやすくなり、治療せずに放置しておくと血栓が血流により脳に運ばれ血管に詰まり、脳梗塞を発症する恐れがある。(図2)

図2:心房細動が脳梗塞を引き起こす仕組み(心原性脳塞栓症)

 心房細動は、加齢とともに増えると言われており、2020年の日本の推定患者数は100万人に上る(図3)が、高齢化に伴い今後さらなる増加が見込まれ、今後さらに注視すべき健康課題である。

図3:日本における慢性心房細動患者数の推移および今後の予測

Ohsawa M, et al, : J Epidemiol 2005 : 15 : 194-196


 オムロンヘルスケアでは、循環器事業の事業ビジョンに「脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)」を掲げ、今年3月には日本初となる心電計付き上腕式血圧計「HCR-7800T」を発売。心房細動の発症リスクが高い高血圧患者の心房細動の早期発見に取り組んでいる。
 さらに、心房細動を早期に発見する機会創出を目指し全国の薬局で心電計付き上腕式血圧計を活用した「心電図記録による受診勧奨モデル」の拡大を進めている。
 今回発売する携帯型心電計では、脈の乱れなど心房細動に関連する症状を自覚している人が、いつでもどこでも心電図を記録し、医師と共有する等の早期治療のサポートを目指している。携帯型心電計 HCG-8060Tの主な特徴と解析パターンは、次の通り。

【主な特長】

・Ⅰ誘導、6誘導の心電図を記録できる

・記録した心電図はスマートフォンアプリで表示

・心電図を6つのパターンに解析し、解析結果はスマートフォンアプリで表示

【解析パターン】

  ・心房細動の可能性:心房細動が検出された際に表示

  ・正常な洞調律:異常な収縮がない正常な洞調律の際に表示

  ・徐脈:収縮リズムが正常で心拍が遅め(40~50拍)の際に表示

  ・頻脈:収縮リズムが正常で心拍が速め(101~140拍)の際に表示

  ・分類できません:上の4項目に該当しない際に表示

  ・解析できません:心電図を正しく読み取れなかった際に表示

アプリ画面①(正常な洞調律)
アプリ画面②(心房細動の可能性)


 オムロンヘルスケアでは、こうした取り組みを社会全体に浸透させることで心疾患予防を促進し、ゼロイベントの実現を目指す。

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