ウパダシチニブ 活動性強直性脊椎炎の2つのP3試験で好結果 アッヴィ

 アッヴィは21日、ウパダシチニブについて、活動性強直性脊椎炎(AS)を対象とした2つのP3試験(SELECT-AXIS 2プログラム)で好結果が得られたと発表した。両試験の詳細な結果は、2022年欧州リウマチ学会(EULAR 2022)で発表された。
 SELECT-AXIS 2プログラムは、活動性のX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)の成人患者および、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)で効果不十分であった難治性の活動性強直性脊椎炎(AS)患者を対象としたもの。
 両試験において、プラセボ群と比較し、主要評価項目である14週時のASAS40(国際脊椎関節炎評価会(ASAS)基準でベースラインから40%の改善)を達成した。
 SELECT-AXIS 2 nr-axSpA試験において、主要評価項目である14週時のASAS40を達成したnr-axSpA患者の割合は、プラセボ群と比較してウパダシチニブ群で有意に高い結果となった(ウパダシチニブ群で45%、プラセボ群で23%、P<0.0001)。
 また、14週時における患者による全般背部痛評価、強直性脊椎炎の機能指標(BASFI)、強直性脊椎炎疾患活動性スコア(ASDAS)の低疾患活動性、強直性脊椎炎のQoLスコア(ASQoL)および仙腸関節のカナダ脊椎関節炎研究コンソーシアム(SPARCC)のMRIスコアのベースラインからの変化量といった多重性を制御した副次評価項目の14項目のうち最初の12項目を達成し、プラセボ群と比較して統計学的な有意差を示した。
 これらの結果について、トップライン結果は2021年に既に発表済みであり、客観的な炎症の徴候がみられ非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で効果不十分であった活動性nr-axSpAを有する成人患者に対する治療薬としての承認申請の一部として、FDAおよび欧州医薬品庁(EMA)へ提出している。
 SELECT-AXIS 2 AS bDMARD-IR試験において、主要評価項目である14週時のASAS40を達成した患者の割合は、プラセボ群と比較してウパダシチニブ群で有意に高い結果となった(ウパダシチニブ群で45%、プラセボ群で18%、P<0.0001)。
 また、14週時に患者による全般背部痛評価、BASFI、ASDASの低疾患活動性、ASQoLおよび脊椎のSPARCCのMRIスコアのベースラインからの変化量といったすべての多重性を制御した副次評価項目を達成し、プラセボ群と比較して統計学的な有意差を示した。
 ウパダシチニブについて、既知の安全性プロファイルと比較して新たな安全性のリスクは特定されなかった。nr-axSpA試験において、14週時までに有害事象が発現した患者の割合は両投与群で類似した結果となった(ウパダシチニブ群で48%、プラセボ群で46%)1。重篤な有害事象がウパダシチニブ群の4名の患者さん、プラセボ群の2名の患者さんで報告された。
 AS bDMARD-IR試験において、14週時までに有害事象が発現した患者の割合も両投与群で類似した結果となった(ウパダシチニブ群で41%、プラセボ群で37%)。
 nr-axSpA試験およびAS bDMARD-IR試験のいずれにおいても、ウパダシチニブ群で悪性腫瘍、主要心血管イベント、静脈血栓塞栓症または死亡と報告された例はなかった。
 
◆アッヴィvice president, development兼chief medical officerのNeil Gallagher氏(M.D., Ph.D)のコメント
 SELECT-AXIS 2試験から得られた新たなデータは、体軸性脊椎関節炎に分類される疾患を抱える患者さんにとってウパダシチニブの可能性をさらに高めるものである。
 アッヴィは、患者さんのニーズに応えるべく、治療環境を変えうる新たな革新的な方法を今後も追及していく。今回の肯定的なデータに勇気づけられる思いであり、nr-axSpAの患者さんにとって新しい治療選択肢の提供につながることを期待している。

◆SELECT-AXIS 2試験の治験責任医師で、ゲント大学の大学病院リウマチ学科教授のFilip Van den Bosch氏(M.D)のコメント
 nr-axSpAは進行性で、生活に影響をもたらす炎症性疾患であり、治療選択肢は限られている。若年成人に好発し、脊椎の炎症により背部痛やこわばりを引き起こし、生活の質を著しく低下させるおそれがある。
 今回のデータは、ウパダシチニブが炎症の抑制、痛みの緩和、機能向上に貢献し、nr-axSpAをもつ患者の疾患コントロールの一助となる可能性を示唆している。

タイトルとURLをコピーしました