塩野義製薬は21日、ピクシーダストテクノロジーズ(PxDT、本社:東京都)と「音刺激による脳活性化および認知機能改善」に向けた共同研究に関する基本合意書を締結したと発表した。
国内で高齢者人口は増加し続けており、28.4%と世界で最も高い高齢化率となっている。日本の高齢者における認知症有病率は約15%と推計されており、高齢化の進展に伴って有病者数はさらに増加するものと予想されている。
認知症は、記憶・学習、言語能力、判断能力などの認知機能の障害により本人のQOLが低下するとともに、介護者の肉体的、精神的、経済的負担にもつながり、社会に与える影響が大きい疾患だ。
一方で、既存治療法に対する患者満足度は高くなく、新たなソリューションが求められている。認知症患者の脳においては、特定のリズム活動(ガンマ波)が弱まっていることが報告されている。
塩野義製薬とPxDTは、2021年12月より「生活に溶け込んだ形で、自然五感を刺激することによって長期的な介入を可能とし、認知症ケアを実現する」というコンセプトを掲げ、感覚刺激による脳のリズム活動の変化に着目した新しいサービスの開発に向けた共同研究に取り組んできた。
その中で、脳の特定のリズム活動(ガンマ波)を強める可能性のある「音」を共同開発した。今回の合意書締結を通じて、今後は、テレビの音や音楽を自然な形で加工して特定のリズムの脳活動を強めるなど、「音」を通じたサービスの開発に向けたさらなるエビデンスの構築を目指す。
塩野義製薬とPxDTは両社の強みを活かし、聴覚や視覚など五感刺激による「生活に溶け込んだ認知症ケア」サービスの開発を通じて、患者や社会の抱える困り事の解決に向けた新たなソリューションの提供に取り組んでいく。