カルケンスとオビヌツズマブ併用療法 初回治療CLL 対象P3試験で5 年生存率 90%実証 アストラゼネカ

 アストラゼネカは14日、カルケンスとオビヌツズマブの併用療法について、初回治療の慢性リンパ性白血病(CLL)を対象としたP3試験(ELEVATE-TN 試験)において5年生存率90%を示したと発表した。同試験結果は、4日に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で報告された。
試験の追跡期間中央値約5年のデータカットオフ時点において、カルケンス単剤療法および併用療法は、Chlorambucilとオビヌツズマブ併用療法との比較で、統計的に有意な無増悪生存期間(PFS)に対するベネフィットの維持を示した。
 また、カルケンスの安全性および忍容性は既知のプロファイルと一致していた。
 さらに、同試験でカルケンスとオビヌツズマブ併用療法群は、Chlorambucil とオビヌツズマブ併用療法群との比較で、前治療歴のない成人 CLL 患者における全生存期間(OS)の延長も示した。
 CLLは、欧米では成人の白血病において最も患者数が多く、2019年には世界で10万例以上の患者が CLLと診断されている。
 追跡期間中央値 58.2カ月時点で、Chlorambucilとオビヌツズマブ併用療法群と比較して、カルケンスとオビヌツズマブ併用療法群は、病勢進行または死亡のリスクを 89%(PFSのハザード比[HR]0.11, 95%信頼区間[CI]0.07-0.16)低下させ、カルケンス単剤療法群でも 79%(HR 0.21, 95% CI 0.15-0.30)低下させた。
 OSデータは、いずれの治療群でも中央値にはまだ到達していない。死亡の相対リスクは、カルケンスとオビヌツズマブ併用療法群において 45%低く抑えられた(OS の HR 0.55, 95% CI 0.30-0.99)。
 カルケンスとオビヌツズマブ併用療法群の患者の5 年生存率の推定は90%であったのに対し、カルケンス単剤療法群では 84%、Chlorambucilとオビヌツズマブ併用療法群では 82%であった。
 また、P3相 ASCEND 試験の追跡結果では、カルケンスは再発または難治性 CLL の成人患者において、治験担当医師の選択によりリツキシマブと idelalisib(IdR)またはベンダムスチン(BR)のいずれかを併用した場合と比較して、治験担当医師の評価で 4 年経過時点でのPFSの改善が維持されていることを示した。
 また、42カ月時点での推定無増悪生存率は、カルケンス群では62%、IdR/BR 群では19%であった。追跡期間中央値は、カルケンス群では46.5カ月、IdR/BR 群では 45.3 カ月であった。
 ELEVATE-TN 試験および ASCEND 試験において、カルケンスの安全性および忍容性はこれまでの所見と一致しており、新たな安全性に関するシグナルは確認されなかった。

◆ELEVATE-TN 試験主任研究者でWillamette Valleyがん研究所研究責任者、米国腫瘍学ネットワーク血液学研究所メディカルディレクターのJeff Sharman氏のコメント
 5年近く追跡調査を行ったELEVATE-TNの試験結果は、臨床現場で私が診てきたことの裏付けとなり、臨床医はより期待を持ってこの治療法を行える。
 慢性リンパ性白血病の患者さんは、多くの場合、治療を長年続けているため、長期の有効性と忍容性は、医師が治療計画を決定する際に考慮する重要な条件である。
 今回の結果において、カルケンスとオビヌツズマブの併用が、Chlorambucilとオビヌツズマブと比較して、前治療歴のない患者さの生存期間を延長し、また概して良好な忍容性を示した。

◆アストラゼネカ血液領域R&DシニアバイスプレジデントのAnas Younes氏のコメント
 我々は、血液疾患の患者さんに効果的で安全な治療をもたらすことに注力している。慢性リンパ性白血病は、その慢性的な性質と、患者さんが併存疾患を患いがちであることから、これら2つの要素は特に重要となる。
 ASCOでの長期データの集計結果は、重要な治療現場でのカルケンスの有効性と持続的な安全性プロファイルを示しており、患者さんとその担当医により多くの選択肢を提供することになる。

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