デング熱ワクチン グローバルP3試験で4年半継続して予防効果実証 武田薬品

 武田薬品は9日、デング熱ワクチン候補(TAK-003)について、グローバル臨床P3試験(TIDES試験)において、ワクチン接種後4年半(54ヵ月)にわたり継続してデング熱の予防効果を示したと発表した。
 TIDES試験では、ワクチン接種前の血清反応が陽性および陰性をふくむ全体の集団において、デングウイルス感染症による入院の84%およびデング熱の発症の61%を抑制し、安全性について大きな懸念も認められなかった。
 同データは、9日に第 8 回Northern European Conference on Travel Medicine(NECTM8)で発表されたた。今後も複数の学会でデータ報告する予定である。 4年半を通してTAK-003 は、デングウイルス感染症による入院に対して84.1%のワクチン有効性(VE)(95%信頼区間:77.8, 88.6)を示した。ワクチン接種前の血清反応陽性者では 85.9%のVE(78.7, 90.7)、血清反応陰性者では 79.3%の有効性(63.5, 88.2)を示した。
 また、ウイルス学的に確認されたデングウイルス感染症(VCD)に対して61.2%(95%信頼区間:56.0, 65.8)の全体的な有効性を示し、ワクチン接種前の血清反応陽性者では64.2%の有効性(58.4, 69.2)、血清陰性者では 53.5%の有効性(41.6, 62.9)であった。
 有効性は、血清型によって異なっていたが、この 結果はこれまでに報告された結果と一貫性のあるものであった。
 TAK-003の忍容性は概ね良好であり、重要な安全性上のリスクは特定されなかった。54ヵ月間の探索的解析からは、疾患増強のエビデンスは認められなかった。
 この新たな長期の試験結果は、以前発表された TIDESデータを補完するもので、同ワクチンがVCD に対する全般的な有効性の主要評価項目を満たしている。12ヵ月間の追跡調査時に80.2%の有効性、ならびに18ヵ月間の追跡調査時の評価に必要な十分な数のデング熱症例があったすべての副次評価項目、さらにデングウイルス感染症による入院に対する 90.4%の有効性を含んでいる。
 2回接種長期追跡調査は完了しているが、TIDES 試験はブースター接種の安全性と有効性を評価するために継続中だ。
 TIDES 試験は、同社における最大規模の介入臨床試験であり、過去4年半にわたりデング熱流行国8か国における4歳から16歳の健常な小児・若年層被験者 2 万人以上が組み入れられている。
 TAK-003は、現在、欧州およびデング熱流行国の小児および成人におけるデング熱疾患の予防のために規制当局の審査を受けている。

◆Eng Eong Ooi氏(シンガポールのDuke-NUS Medical School、Ph.D., M.D.,)のコメント
 デングウイルス感染症の影響は広範囲におよび、毎年世界の人口の半分以上がデングウイルス感染のリスクにさらされている。疾患をおさえこむ効果的な予防手段が常に求められている。
 TIDES 試験の長期間の結果、特に入院の抑制効果が認められたことから、TAK-003 は、デングウイルス感染症の予防に必要な数少ない方法の選択肢のひとつとなり得る可能性がある。

◆Gary Dubin武田薬品グローバルワクチンユニットプレジデント(M.D)のコメント
 デング熱は複雑かつ世界的な疾患で、TIDES 試験はこの点を考慮してデザインされており、デング熱流行地域のラテンアメリカとアジアのデング熱未感染集団とデング熱既感染集団の両方を含め、4年半をかけて評価するためにデザインされた。
 TAK-003 の有効性と安全性の継続した確認、およびデングウイルス感染症に対する長期防御能が示されていることをうれしく思う。

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