田辺三菱製薬の2021年度決算は、売上収益3859億円(対前年比2.2%増)、コア営業利益△30億円(-)、営業利益△157億円(-)、当期利益(親会社帰属)△102億円(-)
となった。売上収益の内訳は、国内3182億円(同1.7%増)、海外677億円(4.5%増)。
国内医療用医薬品は、2021年4月の薬価改定の影響や、ワクチンの減収があったものの、乾癬・クローン病・潰瘍性大腸炎の治療剤「ステラーラ」、関節リウマチなどの治療剤「シンポニー」、2型糖尿病治療剤「カナグル」、「カナリア」が順調伸長し、前期比 1.6%増収の3095億円となった。
国内主力製品の売上高は、次の通り。
ステラーラ515億円、シンポニー433億円、テネリア 152億円、カナグル113億円、カナリア104億円、バフセオ10億円、レクサプロ154億円、ユプリズナ13億円、ルパフィン88億円、イムセラ38億円、ワクチン335億円(インフルエンザ104億円、テトラビック 104億円、ミールビック54億円、水痘ワクチン46億円、ジェービックV16億円)
海外医療用医薬品は、ALS治療剤「ラジカヴァ」などが伸長し、前期比11.1%増収の558億円となった。ラジカヴァの売上収益は246億円。
ロイヤリティ収入等は、前期比16.2%減収の133億円となった。
なお、ジレニアのロイヤリティついては、ノバルティス社との間で仲裁手続きに入っているため、売上収益に計上していない。
田辺三菱製薬は、「ノバルティス社が契約に従って支払うべきロイヤリティの全額を受領する権利がある」と主張しており、今後、仲裁において適切この権利を追求していく。
なお、「ジレニア ロイヤリティ」について売上収益の認識を行わない部分については、仲裁終結時に、その結果に応じて一括して収益認識する。
コア営業利益は、メディカゴ社が開発を進めている新型コロナウイルスワクチンやニューロダーム社が開発を進めているパーキンソン病の治療薬など、複数のグローバル後期臨床試験が同時進行。
加えて円安の影響もあり、研究開発費が一時的に増大し、コア営業利益は前期比240億円減益、30億円の損失となった。
営業利益の非経常項目は、変形性関節症治療薬 (MT-5547)について事業環境の変化を受けて事業計画を見直した結果、回収可能価額が帳簿価額を下回ったため製品に係る無形資産の減損損失を158億円計上した。また、加島事業所の譲渡などの固定資産売却益52億円を計上した。
その結果、営業損益は157億円の損失となった。なお、前期はニューロダーム社が開発を進めているパーキンソン病の治療薬について、製品係る無形資産の減損損失を845億円、戸田事業所の譲渡などの固定資産売却益81億円を計上し、営業損益は585億円の損失であった。
2022年度業績予想は、売上収益4095億円(対前年比6.1%増)、コア営業利益180億円(-)、営業利益180億円(-)、親会社の所有者帰属する当期利益95億円(-)。
国内医療用医薬品は重点品が伸長するものの、薬価改定影響により減収となる見通しである。
一方、海外においてMT-1186の上市やメディカゴ社による新型コロナワクチンの実用化を見込み、売上収益全体では増収を予想している。
増収に加えて、新型コロナワクチンの実用化等により研究開発費の減少を見込んでおり、コア営業利益、営業利益並び親会社の所有者帰属する当期利益は増益となる見込みだ。
新型コロナVLPワクチン(MT-2766)については、2022年度上半期にグローバル試験データと日本の試験データをあわせて国内申請するよていである。
また、WHOが「タバコ企業が出資しているためにMT-2766の承認申請を認めない」としている件については、現在、将来の承認に向けてWHOとの協議を進めている。