第1期中計(22-24)「“Cho-WA”のとれた未来実現への基盤構築」策定 ツムラ

事業規模拡大と収益力強化による企業価値向上目指して

 ツムラは10日、第1期中期経営計画(2022年度-2024年度)「“Cho-WA”(調和)のとれた未来実現への基盤構築」を策定し、事業規模拡大と収益力強化による企業価値向上を目指すと発表した。
 第1期中期経営計画(2024年度)の数値目標は、売上高1620億円、営業利益290億円、ROE8%。
 同社グループでは、2022年4月1日、TSUMURA Group DNA Pyramidを刷新し、プリンシプル「順天の精神」および究極的に成し遂げる事業の志であるパーパス「一人ひとりの、生きるに、活きる。」を新たに制定した。
 また、サステナビリティビジョン「自然と生きる力を、未来へ。」と、3つの“P”(PHC:Personalized Health Care 一人ひとりに合ったヘルスケア提案、PDS:Pre-symptomatic Disease and Science “未病”の科学化、PAD:Potential-Abilities Development 潜在能力開発)を通じて、心と身体、個人と社会が「“Cho-WA”(調和)のとれた未来を実現する企業へ」を掲げた長期経営ビジョン「TSUMURA VISION“Cho-WA”2031」を策定した。
 第1期中期経営計画(2022年度-2024年度)は、長期経営ビジョン実現のための基盤構築のステージとして位置づけ、成長(事業規模の拡大)と収益力(利益率の向上)による企業価値の向上を目指して取り組んでいく。
 第1期中期経営計画では、5つの戦略課題に取り組み、さらなる成長(事業規模の拡大)と収益力(利益率の向上)による財務基盤の改善、事業を通じた社会課題解決への貢献により、企業価値を高めていく。
 また、将来に向けた成長投資として国内外での大型投資を実施する。
 TSUMURA VISION“Cho-WA”2031では、海外事業比率50%を掲げ、成長(事業規模の拡大)により将来キャッシュフローを創出する。
 第1期中期経営計画は、国内事業において、処方医師数の増加に伴う市場拡大により、持続的な安定成長を目指す。また、中国事業においては、生薬プラットフォームでの飲片の販路拡大などにより高成長を目指し、製剤プラットフォームでの中成薬企業のM&Aによる基盤構築を早期に進めていく。
 TSUMURA VISION“Cho-WA”2031においては、スマートファクトリー化や生産性2倍を掲げ、収益力・利益率の向上を目指す。
 第1期中期経営計画では、天津工場の稼働や資源価格の高騰、為替の影響などにより、営業利益率は一時的に低下するものの、事業規模の拡大とともに、労働生産性向上による原価低減、販管費圧縮より向上する見通しだ。
 また、第1期中期経営計画では、将来の成長(事業規模の拡大)に向けて、生産能力の増強および自働化・DX化への先行投資する。国内事業関連投資として、国内での製造工程(抽出・乾燥、造粒、包装・表示)および天津津村での抽出・乾燥工程に約1000億円、中国事業関連投資として、中薬研究センター建設およびIT基盤構築に約150億円、合計約1150億円の投資を計画している。
 こうした生産能力の増強だけではなく、革新的な自働化設備の開発やDX推進のためのIT投資の実施により、効率化・省人化による生産性向上を推し進め、大型投資に伴う原価の上昇を最小限に抑えていく。
 なお、中国の製剤プラットフォームにおける中成薬企業のM&Aの投資は含めていない。

 「第1期中期経営計画の戦略課題」および「戦略課題達成のための重点施策」は次の通り。

【第1期中期経営計画の戦略課題】
1)医師一人ひとりにあった漢方ソリューションの提供による漢方市場の継続的拡大

2)KAMPOmicsによる漢方のエビデンス構築と未病の科学化の推進

3)中国における生薬・飲片の売上拡大と中成薬事業への参入

4)漢方バリューチェーン改革に向けたIT基盤刷新と生薬選別、製造工程におけるAI・ロボット活用の推進

5)組織資本・人的資本による価値の創造と働きがい改革の推進

【戦略課題達成のための重点施策】

1)医師一人ひとりにあった漢方ソリューションの提供による漢方市場の継続的拡大

・漢方医学に基づき、10処方以上の漢方製剤を処方する医師が2人に1人以上となる医療現場の実現に貢献できるよう、情報提供活動の進化・定着を図る。

・漢方デジタルソリューションとして、ハイブリッド型プロモーションをより進化させ、医療従事者一人ひとりが必要とする情報を最適なチャネルから適切なタイミングで入手し、ご活用いただけるよう、当社メディカルサイトを拡充する。

・「高齢者関連領域」、「がん領域(支持療法)」、「女性関連領域」を重点領域とし、育薬処方、Growing処方および診療領域基本処方を中心に情報提供の量・質を飛躍的に向上させる。

2)KAMPOmicsによる漢方のエビデンス構築と未病の科学化の推進

・漢方治療の個別化のためのプラットフォーム構築に向けて、漢方医学に基づく診断方法である望診および問診の診断サポートツールを開発し、そのテスト運用を開始する。

・未病の科学化への取り組みとして、未病状態を科学的に解明し、定義化する。

・漢方治療の標準化のさらなる展開のため、重点領域を中心にエビデンス集積を推進し、診療ガイドラインへの新規収載および推奨度の向上を目指す。

・米国におけるTU-100(大建中湯)上市に向けた開発を推進する。

3)中国における生薬・飲片の売上拡大と中成薬事業への参入

・高品質な生薬・飲片・「薬食同源」製品の安定供給とブランド化を通じて、中薬業界のリーディングカンパニーに成長する。

・原料生薬は、品質や取扱量、価格などにおいて、優位性のある品目数を増やす。

・飲片は、重点品目を中心に、公立病院の販路およびオンライン販売を継続拡大する。

・「薬食同源」製品は、優位性のある生薬を用い、高付加価値で養生のニーズに沿った製品を開発する。

・古典処方を保有する中成薬企業のM&Aを完了し、上市申請をする。

4)漢方バリューチェーン改革に向けたIT基盤刷新と生薬選別、製造工程におけるAI・ロボット活用の推進

・先進技術による設備の自動化、データ有効活用による新たな生産システム構築のためのデータ収集とデータの見える化、価値創造業務への転換に向けた省力化、作業負荷の軽減を実施し、労働生産性を20%向上させる(対2021年度)。

・生薬AI自動選別機を4拠点(石岡センター、夕張ツムラ、深圳津村、盛実百草)に導入し、AI自動選別が可能な品目数を順次増やす。

・ツムラ生薬GACPの運用により蓄積された生薬栽培に関する様々な情報を、生産性向上や品質・安全性の確保などにつなげる研究を実施する。

・漢方バリューチェーンの効率化およびデータドリブン経営の実現に向けて、グループ全体のIT基盤を刷新する。

5)組織資本・人的資本による価値の創造と働きがい改革の推進

・パーパスを掲げた理念経営・ビジョン経営を実践し、当社グループを牽引する人財を養成するため、各種養成プログラムの実施、タフアサインメント、アセスメント、選出の仕組みを高度化する。

・理念を求心力とした組織作りにより、一人ひとりの働きがいを高め、“潜在能力”を自ら発揮できる企業文化を醸成する。

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