CDMO設備拡張によりiPS細胞バンキングニーズ増加に対応 アイ・ピース

GMP細胞製造能力3倍増へ

 アイ・ピースは、GMP細胞製造設備を拡張し、iPS細胞やiPS細胞由来分化細胞のCDMO(開発製造受託者)能力を3倍に増強する。 既に設備はほぼ完成しており、医薬品医療機器総合機構(PMDA)によるGMP適合性調査を経て4月には新規設備の操業開始を予定だ。当該施設はFDAガイドライン準拠施設として登録されているが、拡張に伴いFDAへの登録もアップデートされる。
 能力増強後は、製薬会社向けカスタム製造と個人向けiPS細胞バンキング用製造併せて年間数百ラインの能力を有することになる。 これによりGMP細胞のグローバル開発製造受託者(CDMO)として世界各国の製薬会社、細胞医療開発企業・研究機関、ならびに個人用iPS細胞バンキングのニーズの増加対応が可能となる。
 アイ・ピースは、GMPiPS細胞の販売、及び医療用細胞の製造受託サービスをグローバルに展開している。京都大学山中伸弥教授の研究室出身で、世界で初めてヒトiPS細胞の樹立成功を報告した論文の第二著者でもある田邊剛士氏によって2015年に立ち上げられた。iPS細胞の開発当初から研究に従事してきた田邊氏は、アイ・ピースを通じiPS細胞を全ての人々の手に届くものとすることを目指し、日々革新的な技術開発に取り組んでいる。
 同社細胞製造拠点は、既に特定細胞加工物製造許可を厚生労働省(近畿厚生局)より得ており、さらにiPS細胞バンクのリスク管理戦略について医薬品医療機器総合機構による対面助言相談記録が確定している。
 また、第三者機関により医薬品の製造管理および品質管理に関するグローバルな基準であるICH-Q7ならびに米国食品衛生局の製造プロセスに関する規制である21CFR210/211に準拠、そしてiPS細胞のもととなる血液ドナーのスクリーニングは米国食品衛生局のヒト細胞・組織およびそれらに由来する製品に関する基準21 CFR1271に準拠している旨の認証を受けている。
 加えて、薬品製造施設としてのFDAへの登録が受理され、FDA登録医薬品製造施設としてデータベースに掲載された。FDA薬品製造施設データベースへの登録は、FDAに提出した施設詳細情報をもとに医薬品製造にふさわしい条件を備えた施設として認められたことを意味する。
 作製された医療用iPS細胞の製造情報詳細は、製法、品質管理、安定性試験を含めてFDAのDMF(Drug Master File)に登録されている。
 従って、PMDAだけでなくFDAへの承認申請を予定される製薬企業は、アイ・ピースの医療用iPS細胞、iPS細胞由来の医療用分化細胞製品、及び医療用細胞の製造受託サービスを活用することにより、日米両国の規制に適合した臨床試験を加速し、再生医療の臨床応用の承認申請をグローバルに行うに当たっての時間とコストを大きく削減できる。
 今回の設備能力増強により、これまで製品・サービスを提供してきた日本・米国・欧州・アジアの各企業・研究機関に加え、さらに多くの企業の創薬・再生医療開発の支援が可能となった。
 さらに、個人用iPS細胞バンキングにおいても、より多くの人々の要望に迅速に応えられるようになった。同社では、来年度以降も需要の動向に素早く対応し、製造能力のさらなる増強に取り組んでいく予定だ。

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