高尿酸値が動脈硬化の危険因子を増加させる可能性を発見 明治と鳥取大学医学部

 明治および鳥取大学医学部再生医療学部門の經遠智一助教らの研究グループは24日、尿酸値が高い高尿酸血症の状態で生じる尿酸塩結晶が、痛風や尿路結石だけでなく、動脈硬化の直接のリスク因子になり得る可能性を発見したことを明らかにした。

細胞内に取り込まれた尿酸塩結晶と思われる粒子


 同研究成果は、17日~18日に開催された「第55回 日本痛風・尿酸核酸学会総会」で公表されたもので、尿酸塩結晶は血管の細胞内に取り込まれ、細胞死が促進されることが示唆された。さらに、尿酸塩結晶によって血管の細胞における動脈硬化のリスク因子PAI-1の遺伝子発現が上昇することも分かった。
 高尿酸血症の合併症には動脈硬化だけでなく糖尿病や高血圧などが知られており、さまざまな疾患の原因になり得ることが示唆されている。そのため、尿酸値のコントロールは日々の健康を実現していくうえで非常に重要なキーファクターとなっている。
 血中尿酸値が7 mg/dLを超えた状態は高尿酸血症と呼ばれ、合併症として動脈硬化、糖尿病や高血圧などが知られている。また、高尿酸血症が持続すれば尿酸塩結晶が組織に沈着し、痛風や尿路結石による激しい痛みをもたらす。近年、尿酸塩結晶は血管にも沈着することが報告され、尿酸塩結晶と血管障害との関連が注目されている。

図1:血管の細胞への尿酸塩結晶添加時の顕微鏡観察結果(上段)および
フローサイトメーターによる死細胞数の測定結果(下段)


 そこで經遠氏らは、尿酸塩結晶が血管の細胞に及ぼす影響を調べ、高尿酸血症と動脈硬化の関連について検討した。研究方法は、ヒトの血管の細胞の培養系に尿酸塩結晶を500 µg/mLの濃度で添加して、24時間後の細胞の状態を観察するというもの。また同様に尿酸塩結晶(500 µg/mL)を添加して、24時間後の血管の細胞のPAI-1遺伝子発現量を調べた。同研究により、次の結果が得られた。
・尿酸塩結晶を添加したところ、血管の細胞の細胞内に尿酸塩結晶と思われる粒子が観察できた(図1 上段)。

・何も添加しない対照群に比べて尿酸塩結晶の添加群では死細胞の割合が約30%まで増加した(図1 下段)。

・血管の細胞のPAI-1遺伝子発現量は、対照群に比べて尿酸塩結晶添加群で有意に上昇した(図2)。

図2:血管の細胞のPAI-1遺伝子発現量

 血中尿酸値が高い高尿酸血症の状態が継続すれば、尿酸塩結晶が関節に沈着して炎症が起こり急激な痛風発作が生じる。同様に血管組織でも尿酸塩結晶が沈着することが近年報告されている。
 同研究成果から、高尿酸血症により血管組織に尿酸塩結晶が沈着することで血管障害が誘発され、動脈硬化の直接的なリスクに成り得る可能性が示された。
 明治では、今後もこうした研究に取り組むことで、顧客の健康課題に有益な情報を提供し続け、顧客の日々の健康と生活充実に貢献していく。

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