塩野義製薬は3日、グラクソスミスクライン(GSK)およびファイザーとともに資本参加しているヴィーブ社が Gilead社のHIVインテグラ―ゼ阻害薬Biktarvyに対して提起した特許権侵害訴訟について、Gilead社と和解したと発表した。英国時間2月1日付で公表されたもの。
ヴィーブ社、GSK社および塩野義製薬は、Gilead社のBiktarvy(bictegravirを含む3剤配合の抗HIV薬)が、塩野義製薬が創製しViiV社に権利を移転したdolutegravirならびにその関連化合物を包含する特定の特許を侵害しているとして、2018年2月以降、訴訟を提起していた。
今回の和解により、米国、英国、日本をはじめとする全9ヵ国での特許侵害訴訟は中止される。
また、ヴィーブ社、GSK社、塩野義製薬の3社は、Gilead社との間において、ヴィーブ社が保有するdolutegravirの関連特許に係るライセンス契約を締結した。
同契約の締結により、3社はGilead社のBiktarvyおよびbictegravirを含む今後の製品に対して、製品中のbictegravir成分に係る特許の主張範囲においてdolutegravir関連特許に基づく新たな申し立ては行わないことで合意した。
今回の和解ならびにライセンス契約の締結により、Gilead社はヴィーブ社に対して12.5億米ドルの一時金を2022年1~3月期に支払う予定である。加えてGilead社は、今後の米国におけるBiktarvyの売上高(参考:2020年 60.9億米ドル)およびbictegravirを成分に含む将来の製品売上高のbictegravirに係る金額に対して、3%のロイヤリティーをヴィーブ社に支払う。
ロイヤリティー支払いは、2022年2月より開始され、ヴィーブ社のdolutegravirに係る米国特許(No. 8,129,385)が満了する2027年10月5日まで存続する予定だ。
塩野義製薬は、Gilead社からヴィーブ社への一時金およびロイヤリティー支払いの一部を受領する。現時点では、通常配当として分配される部分を除き、一時金より2億3000~2億5000万米ドルを受領する予定である
なお、同件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響については、当第4四半期に前述の一時金の受領が見込まれるが、金額ならびに会計上の取り扱いが確定した時点で速やかに公表する。