高濃度カテキンの水溶液化技術開発 新型コロナ等ウイルス不活化を確認 九州保健福祉大学とHPG

新型コロナ等ウイルス感染予防に期待

 九州保健福祉大学薬学部長の黒川昌彦教授とHPG(東京都)は17日、HPGが開発した水溶液化技術で得られた高濃度カテキンEGCg(エピガロカテキンガレート)が、新型コロナ・SARS・インフルエンザウイルスの不活化効果を発揮することが黒川氏らの検証で証明されたと発表した。
 同技術により、ヒト、及び家畜の新型コロナ・インフルエンザ・SARSなどウイルス予防が期待され、食品をはじめとする加工製品の開発が可能になる。
 食品・化粧品等に使用される各種素材開発・研究を行うHPGが開発した水溶液化技術は、これまで不可能とされていた緑茶カテキンEGCgの高濃度安定化を実現したもの。
 水溶液中で高濃度のまま安定させる加工技術としていちはやく開発され、昨年8月より特許出願申請を開始している。
 高濃度カテキンEGCgの水溶液は、10000ppmの高濃度で安定化され、稀釈により容易に濃度調整が可能である。食品や飲料の味をカテキン特有の苦みで邪魔することがない。構成成分はすべて厚労省が許認可する食品添加成分であるため、体内での副反応のリスクもなく、子供から高齢者まで安心して口腔ケアなどによる服用も可能だ。
 豚や鶏などの家畜のインフルエンザ予防対策としてスプレー状にした成分を飼育場の床や上部から散布するといった感染予防対策にも活用できる。

 同技術で開発された保存安定性に優れた高濃度カテキンEGCgについて、黒川氏らが新型コロナ・SARS・インフルエンザウイルスの不活化効果の検証実験を行った結果、いずれのウイルスも有効な不活化効果が確認された。
 黒川教授らの研究グループは、これまで伝統医薬物やサプリメント等から新規抗ウイルス薬の開発やウイルス感染病態および宿主感染免疫防御機序の解析に関する研究とともに、遺伝子治療への応用に向けたウイルスベクターの基礎研究を進展してきた。
 さらに、QOLの維持・増進に貢献できる研究として、ウイルス感染動物を用いて、胎児期・新生児期環境化学物質暴露やメタボリックシンドロームによる感染症増悪化現象の立証とその解析研究を進めている。
 近年では、生化学、分子・細胞生物学、遺伝子工学、細菌学、ウイルス学、免疫学などの知識と実験手技を駆使し、感染症や生活習慣病の病態メカニズムの解明と新規予防・治療法の開発、環境化学物質の宿主免疫機構に対するリスク評価などの研究を行っている。
 これらの研究は、学内外の研究者(大学、研究所、企業)との共同研究体制を構築しており、研究成果を効率的に社会に還元することで、国民のQOL維持・増進に寄与することを目的としている。

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