脳の発生に重要な新しい因子を発見  早稲田大学人間科学学術院

アルツハイマー、がん、心臓病などの発症原因解明への応用に期待

 早稲田大学人間科学学術院の榊原伸一教授と山田晴也助手らの研究グループは、タンパク質の翻訳後修飾の1つであるSUMO化による新しい脳発生の調節機構を明らかにした。
 SUMO化を調節する重要な因子として、SUMOを標的タンパク質から切り離す働きを持つ脱SUMO化酵素群Senps (Senp1-8)が知られている。SUMO化と脱SUMO化の調節サイクルは、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患、がん、心臓病など様々な疾患に関与し、人類が生きる上で重要な生命現象だ。
 だが、その制御機構には未解明な点が多く、脳の発達に与える影響に関しても不明であった。
 同研究グループはSenp5に着目し、これまで未報告であったSenp5の新しいアイソフォーム(Senp5S)を発見。さらに、このSenp5Sと従来型のSenp5 (Senp5L)がSUMO化と脱SUMO化のバランスを調節することで細胞内のミトコンドリアの形態を制御し、正常な脳の発生を調節することを明らかにした(図1)。
 この研究で明らかにされたSUMO化によるミトコンドリア形態制御機構が、様々な疾患発症原因の解明に寄与できるものと期待される。
 同研究成果は、10日、米国のオープンアクセスジャーナル『iScience』のオンライン版に掲載された。

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