新型コロナワクチン「AZD1222」の治験一時中断  アストラゼネカ

 アストラゼネカは10日(現地時間9日)、オックスフォード大学と共同開発中の新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」について、英国のP3試験の被験者の一人に原因不明の症例が発症したため、全世界での臨床試験を一時中断したと発表した。
 治験の中断は、発生した原因不明の病状を呈する一症例の安全性データの第三者委員会による審査を目的としたもの。同社は、国際多施設共同無作為化比較試験における標準的な審査プロセスを始動し、すべての臨床試験におけるワクチン接種を自主的に中断した。
 同対応は、実施中のいかなる試験においても、原因不明の病状が発生する可能性が認められた場合、その調査において取られる所定の措置で、アストラゼネカでは、「治験の完全性を維持するためのもの」としている。
 さらに、「大規模試験においては、何らかの病状が偶然発現することがあり、これらの個々の症状について慎重に審査しなければならない」との認識を示し、同治験のタイムスケジュールへの影響を最小化するため、この1件の事象の審査を迅速に進めるよう取り組み、治験参加者の安全性と同治験における最高の行動規範の担保に全力を挙げている。
 アストラゼネカの最高経営責任者であるパスカル・ソリオ氏は、「今回の一時的中断は、本治験実施中のひとつの施設で発生した1件の事象を社外の専門家委員会によって評価するもので、我われがこれらの原則に忠実に従うことを証明するものである」と力説。
 その上で、「治験を再開できる時期については、第三者委員会の判断に委ねたい。そうすることが、我々のワクチンをこのパンデミック中に広範かつ公平および営利を目的しない最も早い機会の提供に繋がる」とコメントしている。

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