大塚製薬とのCNS分野4化合物グローバル共同開発・販売提携に期待  大日本住友製薬野村社長

野村氏

 大日本住友製薬の野村博社長は27日、2021年度中間決算説明会で会見し、9月30日に公表した大塚製薬とのウロタロントを始めとするCNS領域4新薬候補化合物のグローバル共同開発・販売提携について言及。「大塚製薬との提携は、ラツーダの特許切れ(2023年)を控えて、リスクシェア、コストシェアの形式により、我々のパイプラインを止めることなくしっかりと患者さんに届けるための手立ての一環として実施した」と説明した。
 さらに、「当社と大塚製薬のニーズがうまく合致したのが非常に良かった。開発を伴う関係なので、長いお付き合いになる」と期待を寄せた。
 また、2021年度の業績として、北米でのレルゴリクス、ビベグロン、レルゴリクス配合剤の販売や、ファイザー社との提携によるライセンス・マイルストン収益を織り込むスミトバント社の黒字化については、「2023年から単独で実現できる」見通しを示した。
 大日本住友製薬の2021年度中間決算は、売上収益2937億円(対前年同期比12.3%増)、コア営業利益479億円(同0.1%減)、営業利益476億円(0.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期(当期)利益365億円(同2.3%減)となった。売上収益は、対前年比322億円増加しており、増収は、大塚製薬との開発・販売提携の対価である契約一時金 2億7000万米ドル(約300億円)に因るところが大きかった。
 同提携は、ウロタロント(SEP-363856、統合失調症P3米国、P 2/3 日本・中国)、SEP-4199(双極Ⅰ型障害うつ、P3米国、P3準備中 日本)、SEP-378614 未定(P1 米国)、SEP-380135 未定(P1 米国)のCNS領域4化合物について、グローバルで共同開発するもの。
 その中心となるウロタロントについて野村氏は、「2031年に物質特許が切れるが、非常にポテンシャルの高い薬剤のため、大型化のために統合失調症以外にも様々な適応症を取っていく必要がある」と断言。
 さらに、「我々単独で様々な臨床試験をグローバルで走らせて行くのは難しい。できるだけスピーディーにウロタロントのポテンシャルを高めるには、開発だけでなく販売においても強力なパートナーが必要であると判断した」と強調し、「利益を折半しても、大塚製薬との提携は、我々にとってポジティブなものであった」と言い切った。

木村氏


 一方、木村徹氏(大日本住友製薬代表取締役専務執行役員)は、統合失調症に続くウロタロントの第2、第3適応症について、「大塚製薬との合意の上での臨床試験計画ができた時点で発表する」と話した。
 その上で、「非臨床データでは、不安、気分障害や統合失調症以外の精神障害など、非常に幅広い有用性が示されている。当社や大塚製薬は、ともにこの領域で既存の薬剤を有しておりその点での競合、あるい他社との競合、ウロタロントのポテンシャルを加味した上でしっかりと議論を展開し、最も成功率の高い開発方針をできるだけ速やかに立案したい」と語った。
 野村氏は、昨年9月26日に米国で発売したパーキンソン病に伴うオフ症状の改善に用いる舌下投与フィルム製剤「キンモビ」(一般名:アポモルヒネ塩酸塩水和物)にも言及し、「コロナ禍での発売で、リモート面談でのディテールに努力したが、これまでにない新しい投与方法のため、その利点がうまく伝わらないところがあった」と報告。さらに、「発売初年度は厳しかったが、医療現場から舌下投与を需要する声も上がっており、今後の伸長が期待できる」とした。
 本年9月16日に国内で新発売したツイミーグ(2型糖尿病治療剤)についても、「グルコース濃度依存的なインスリン分泌を促す膵作用と、肝臓・骨格筋での糖代謝を改善する膵外作用の2つのメカニズムで血糖降下作用を示すと考えられている」と説明。
 こうした2つのメカニズムを有する薬剤の発売は日本では初めてのため、「まずは、専門医を中心にしっかりと情報提供し、その情報が一般医にもうまく伝わるような形式で営業展開していく」方針を示した。
      

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