「アンビション・ゼロカーボン」実現に向けて環境保全の国内進捗状況公表  アストラゼネカ

 アストラゼネカは20日、「アンビション・ゼロカーボン」実現に向けて、脱炭素を中心とする環境保全の日本における進捗状況を発表した。
 同社は、最大10億ドルの投資を行い、2025年までにグローバル規模で自社事業からの温室効果ガス排出量ゼロを実現するとともに、2030年までにバリューチェーン全体でカーボンネガティブ(排出量より削減量が多い状態)を達成する目標として「アンビション・ゼロカーボン」を2020 年1月に表明し、以来、その達成に向けた取り組みを強力に推進している。
 日本を含む120以上の国々の政府が2050年までにカーボンニュートラルの実現を表明しているが、「アンビション・ゼロカーボン」はその取り組みを 10 年以上前倒しするという画期的な目標だ。
 また、アストラゼネカは、製薬会社の中で唯一、RE100(再生可能エネルギー100%)、EV100(電気自動車 100%)、EP100(事業のエネルギー効率倍増)の 3 つの国際的公約全部を表明している(2021 年 10 月 6 日現在)。
 日本においては、国内事業所と工場の2020年の消費電力量を、J-クレジット制度の活用を通じて購入電源すべての再生可能エネルギー移行100%を達成するなど、カーボンゼロの取り組みを着実に進めている。 さらに、本年5月に移転した新東京オフィス(msb Tamachi 田町ステーションタワーN内34-35 階)では、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(本社:東京)が取次ぐ100%実質再生可能エネルギー電気の利用をテナント単位で開始した。
 また、滋賀県にある米原工場では、太陽光発電を設置する計画を進めており、2022年春から工場で使用する電気の20%を自家発電で賄う計画を表明している。
 同社では、このように再生可能エネルギーへの取り組みをさらに進化させている。さらに、営業車両の保有の見直しを行い、MR(医薬情報担当者)やディストリクトマネジャー(営業所長)101名については、営業車両の利用をやめ、公共交通機関やカーシェア、レンタカー利用による活動に切り替えた。現在、1800台の営業車両を利用していますが、そのうち85%をすでにハイブリッド車に切り替えている。
 ゼロカーボン達成に向け、本年3月から6月にかけてMR16名が参加する電気自動車導入のパイロットテストを実施し、営業車を全て2025年末までに電気自動車に切り替える計画の開始を決定した。
 10月より納車を開始して本年末までに100台、2022年末までに500台を順次電気自動車に切り替える予定だ。
 また、米原工場では、サステナビリティに関わる様々な取り組みを実施しているが、廃PTPシートを完全リサイクルする計画も始めている。本年10月にリサイクルテストが成功したので、2023年以降の商業化運用を目指し、本格的な検討が始まった。

 日本で実施している環境保全に関わる主な取り組みは、次の通り。
◆電力に関わる取り組み
  J-クレジット制度を活用することで、大阪本社、東京支社、米原工場を含む日本における事業所の 2020 年に消費した電力量の再生可能エネルギー100%を達成
  2021 年 5 月に移転した新東京オフィスで、100%実質再生可能エネルギー電気の利用を開始
  滋賀県の米原工場敷地内にソーラーパネルを設置し2022年春に稼働、工場で使用する電気の20%を自家発電で賄う計画を推進中

◆社有車に関わる取り組み
  MR や DM 101 名について公共交通機関やカーシェア/レンタカーの利用に切り替えるなど、営業車両の保有台数を削減。米原工場でも保有していた社有車(1 台)を廃止
  営業車両の 85%をハイブリッド車に切り替え(2021 年 10 月 1 日現在)
  電気自動車導入のパイロットテストを全国のMR16名を対象に2021年3月から6月にかけて実施し、営業車1800台を2025 年までに電気自動車へ移行する計画をスタート。本年10月り納車が始まり、本年末までに100 台、2022 年末までに計500台を電気自動車に切り替える計画を推進中

◆米原工場における取り組み
  エネルギー効率の高いコンプレッサーの導入により、導入前と比較してコンプレッサー全体の電気使用量 14%削減を実現
  日本発の取り組みとして製品の個装箱に再生紙を利用(100%)、及びブリスターパックに環境負荷が少ないポリプロピレンを使用(数量ベースで 90%)、グローバル展開を提言
  段ボールをリサイクルしトイレットペーパーと交換
  2021 年中にガス給湯器を電気給湯器に転換
  製品の添付文書の電子化を早期に開始し、紙の添付文書を段階的に終了
  廃 PTP シート(プラスチックとアルミ両方)のリサイクル計画を推進中。 2023年にリサイクル製品の商業化運用を目指す
 米原工場のサステナビリティに関わる取り組みをまとめたビデオは、20日よりウェブサイト(https://www.astrazeneca.co.jp/responsibility/sustainability/environmental-protection.html)で公開している。

◆その他の取り組み
  日本の事業所において、対 2018 年比で、2020 年に紙資源 46%削減を達成
  使い捨てプラスチックの削減「Remove、Reduce、Reuse、Recycle」プログラムに着手し、2019年より大阪本社、東京支社、米原工場の自動販売機からペットボトルを撤去。本年9月17 日から10月15日まで同社および関連会社の従業員・家族を対象に「mymizu チャレンジ」を実施し、社内外でマイボトル利用の促進と使い捨てプラスチック削減を推進
  大阪府岸和田市と「アストラゼネカの森」に関する協定を締結。アストラゼネカ社員が大阪府岸和田市稲葉町(ゆめみヶ丘自然エリア内)において植樹、竹林整備、下草刈り等を行うプロジェクトを開始

◆サステナビリティ目標達成を可能にするための5つの提言
 アストラゼネカでは、自社や他の企業による日本でのサステナビリティの目標達成を可能にするため、「日本でのネットゼロに向けたアストラゼネカからの提言」(仮題)を取りまとめている。
 2030年までに目標とするバリューチェーン全体におけるカーボンネガティブを日本で達成するには、幅広いパートナーシップが必要なほか、日本政府からの支援も不可欠である。そのために次の5つの領域での環境整備が重要と考えている。

  1. クリーンで調達しやすいエネルギー
  2. 電気自動車とそのインフラ
  3. 患者中心のネットゼロにむけた医療システム
  4. 政策及び財源措置に関する長期的な道筋
  5. 政府による市民の意識啓発と政策実行における強力なリーダーシップ
     提言の詳細については、後日発表する。
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