国内初のNASH診断補助用の体外診断薬承認取得  特殊免疫研究所

 特殊免疫研究所)は5日、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)診断補助の体外診断用医薬品「イムニス サイトケラチン18F EIA」の国内製造販売承認を7月29日付で取得したと発表した。
 NASH診断補助を目的とした体外診断薬の承認は、国内で初めて。保険収載後に販売を開始する予定だ。NASH確定診断は、肝生検を必要とするが、肝生検は侵襲性を伴うことから、肝生検実施対象を絞り込むための非侵襲的な診断法の開発が望まれていた。
 サイトケラチン18フラグメントは、アポトーシスと関連するマーカーで、同キットを使用した試験において、非アルコール性脂肪肝NAFLと比較して、NASHで高値となる。
 「イムニス サイトケラチン18F EIA」は、血清中のサイトケラチン18フラグメントを測定する酵素免疫測定法(ELISA)を原理とする試薬で、線維化指標と組み合わせることによって、NASH診断の補助として使用する。
 今回の体外診断薬としての承認により、非侵襲的かつ簡便に肝生検を必要とするNASHの絞り込みが可能になると期待される。
 非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease、NAFLD)は、明らかな飲酒歴がないにもかかわらずアルコール性肝障害に類似した脂肪性肝障害を認める疾患である。
 日本では、検診受診者の29.7~32.2%を占めており、その多くが肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などを伴い、メタボリックシンドロームが肝臓にもたらす病変として捉えられている。
 NAFLDで疾患が悪化した状態であるNASHは、肝臓の線維化が進む速度が速く、NASH肝硬変に進行すれば年率約2~3%が肝細胞がんに進展する予後不良の疾患である
 平成 22年度厚生労働科学研究費肝炎等克服緊急対策研究事業では、日本におけるNAFLDは約1000万人、NASHは約200万人と推定されている。NAFLDの有病率は増加傾向にある。NASHもそれに伴って増加している可能性が高く、2016年の日本におけるNASH有病率は3.0%と推定されている。

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