ベレキシブル 米国で中枢神経系原発リンパ腫のP2試験開始  小野薬品

 小野薬品は19日、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤ベレキシブルについて、米国で中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)を対象としたP2試験を開始したと発表した。
 同試験は、米国においてPCNSL患者を対象にベレキシブルの有効性、安全性および薬物動態を評価する多施設共同非盲検P2相臨床試験(PROSPECT試験:ONO-4059-09)である。
 PCNSLは、初発時に病変が脳脊髄(眼を含む)に局在する悪性リンパ腫であり、日本におけるPCNSLの年間発症数は約980人と推定されている。PCNSL患者が呈する徴候および症状は病変部位により異なり、局所神経障害、神経精神症状、頭蓋内圧上昇に関連する症状、発作、眼症状、頭痛、運動困難、脳ニューロパチー、神経根障害などがある。
 現在、未治療PCNSL患者には、高用量メトトレキサート療法を基盤とする薬物療法およびその後の全脳放射線療法が行われており、一部の患者集団で長期寛解するものの、多くの患者は再発に至る。また、初回治療が奏効しない難治性患者も存在する。
 一方、ベレキシブルは、小野薬品が創製した選択性の高い経口BTK阻害剤で、日本においてB細胞腫瘍患者および自己免疫疾患患者を対象に開発を進めている。B細胞受容体(BCR)シグナル伝達は、B細胞系リンパ球細胞の生存、活性化、増殖、成熟および分化に関する中心的役割を担っており、特にB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)および慢性リンパ性白血病(CLL)では、BCRシグナル伝達経路が恒常的に活性化していることが知られている。ベレキシブルは、BCRの下流に位置するメディエーターであるBTKを阻害することから治療効果が期待される。
 日本において、小野薬品は2020年3月に「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」の効能又は効果でベレキシブルの製造販売承認を受け、2020年5月に同剤を発売。
 その後、2020年8月に日本で「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」の効能又は効果の追加承認を取得した。がん領域以外では、天疱瘡(P2試験)および全身性強皮症(P1試験)を対象とした臨床試験を実施している。

タイトルとURLをコピーしました