不妊治療用受精卵解析ソフトウェアに新たな画像解析機能追加  大日本印刷

胚培養士の受精卵発育観察を全期間でフォローし、評価も支援

 大日本印刷は15日、2018年に開発した不妊治療用「次世代型タイムラプスインキュベーターシステム」の解析ソフトウェアに、AI(人工知能)技術を活用した新たな画像解析機能を追加したと発表した。
 これにより、胚培養士(体外受精の操作を行う医療技術者)が行う受精卵(胚)の発育観察を全期間でフォローし、評価の支援も可能になった。
 大日本印刷は、アステック、浅田レディースクリニックと共同で、体外受精させた受精卵(胚)の培養・観察システムである不妊治療用「次世代型タイムラプスインキュベーターシステム」を2018年に開発した。同システムは現在までに、全国の多くの不妊治療クリニックで採用されている。タイムラプスインキュベーターの普及により、これまでは捉えられていなかった受精卵の成長過程を画像で把握できるようになった。だが、画像確認に多くの時間と新たなスキルを要するという課題も生じていた。
 大日本印刷は、こうした課題を解決するため、AI技術を活用した新たな画像解析機能を本システムのソフトウェアに追加した。胚培養士に安心感をもたらすと同時に画像確認作業の負担を大幅に軽減する。
 従来からソフトウェアの特徴の一つとして、受精卵培養の初期(培養1日目)における発育の重要なポイントである前核の数を検出する機能があった。今回、新たに次の3つの機能を追加し、受精卵の発育観察を全期間でフォローする。

1.初期卵割・異常分割検出機能(培養1~3日目)

 1つの細胞である受精卵が複数細胞に分割していく過程において、初期の細胞分割「初期卵割」のタイミングを検出する。また、一度目の卵割時に異常な数に分裂してしまう事象「異常分割」の発生を検出する。
 これら培養初期を対象とする2つの検出機能により、最終的な胚の評価を支援する。

2.胚盤胞発生ランク機能(培養3~4日目)

 培養初期の分割状況から、培養5~7日目に胚盤胞と呼ばれる状態にまで良好に成長するかどうか、期待ランクを4段階で推定する。

3.胚盤胞評価機能(培養4日目以降)

 胚盤胞の世界的な形態評価基準「ガードナー分類」を参照して受精卵の特徴を解析し、形態的な良好胚を表示して、評価を支援する。

 大日本印刷では、今後、不妊治療用受精卵解析ソフトウェア、細胞医薬分野の検査支援ソフトウェアなど、AI技術を活用した画像解析関連製品を展開して、2025年度までに年間10億円の売上げを目指す。

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