ウパダシチニブ 潰瘍性大腸炎P3相維持療法試験で好結果  アッヴィ

 アッヴィは14日、ウパダシチニブについて、潰瘍性大腸炎患者を対象とした52週間のP3相維持療法試験において主要評価項目である1年(52週)時の臨床的寛解や、1年時における内視鏡的改善、HEMI(組織学的・内視鏡的粘膜改善)などの全ての副次評価項目を達成したと発表した。
 P3相潰瘍性大腸炎維持療法試験同試験は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎を有し、ウパダシチニブ(45mg)を1日1回投与する8週間の導入療法試験期間後に臨床的改善(Adapted Mayoスコアに基づき判定)を達成した成人患者を対象としたもの。
 ウパダシチニブ群では、プラセボ群と比較して有意に多くの患者が52週時に臨床的寛解を達成した(15 mg群で42%、30 mg群 で52%に対し、プラセボ群12%、p<0.001)。
 ウパダシチニブ15mg群、ウパダシチニブ30mg群またはプラセボ群に再度無作為に割り付け、さらに52週間実施した。52週間後の時点で、内視鏡的改善、組織学的・内視鏡的粘膜改善(HEMI)および副腎皮質ステロイドフリー臨床的寛解の達成を含むすべての副次評価項目が達成された。
 52週時に内視鏡的改善を達成した患者の割合は、ウパダシチニブ15mg群で49%、ウパダシチニブ30 mg群で62%であったのに対し、プラセボ群では14%であった(p<0.001)。
 さらに、HEMIを達成した患者の割合は、ウパダシチニブ15mg群で35%、ウパダシチニブ30mg群で49%であったのに対し、プラセボ群では12%であった(p<0.001)。
 8週間の導入療法試験終了時に寛解が得られていた患者のうち、同試験で副腎皮質ステロイドフリー寛解を達成した患者の割合は、ウパダシチニブ15mg群で57%、ウパダシチニブ30 mg群で68%であったのに対し、プラセボ群では22%であった(p<0.001)。
 安全性解析では、8週間のウパダシチニブ導入療法終了時に臨床的改善を達成し、維持療法期に治験薬の投与を1回以上受けた746例を対象とした。
 ウパダシチニブ(15 mgまたは30 mg)の安全性の結果は、潰瘍性大腸炎に対するP3相導入療法試験や、様々な適応症を対象とした先行試験で認められた安全性プロファイルと一致していた。安全性に関する新たなリスクは認められなかった。
 52週間の試験期間中にウパダシチニブ群で最も多く認められた有害事象は、上咽頭炎、潰瘍性大腸炎の増悪および血中クレアチンフォスフォキナーゼ増加であった。有害事象の100患者年あたりの曝露調整発現率は、ウパダシチニブ15 mg群で16.0件、ウパダシチニブ30 mg群で13.8件、プラセボ群で26.1件であった。
 感染症の発現率は、ウパダシチニブ15mg群、ウパダシチニブ30mg群およびプラセボ群でそれぞれ100患者年あたり6.2件、3.9件および7.5件であった。
 治験薬の投与中止に至った有害事象の発現率は、ウパダシチニブ15mg群およびウパダシチニブ30mg群でそれぞれ100患者年あたり7.6件および7.9件であったのに対し、プラセボ群では24.3件であった。
 同試験における悪性腫瘍の報告(非黒色腫皮膚がんを除く)は、ウパダシチニブ15 mg群で1件、ウパダシチニブ30 mg群で2件およびプラセボ群で1件であった。血栓と判定された事象が、ウパダシチニブ15 mg群(肺塞栓症2件)、ウパダシチニブ30 mg群(深部静脈血栓症2件)およびプラセボ群(卵巣静脈血栓症1件)で報告された。
 主要心血管イベント(MACE)と判定された事象が、ウパダシチニブ30 mg群で1件、プラセボ群で1件報告された。プラセボ群の1例で消化管穿孔と判定された事象が認められた。死亡は報告されていない。
 P3相維持療法試験の詳細な結果は、今後学会や査読誌で公表する予定。P3相導入療法試験のU-ACHIEVE試験およびU-ACCOMPLISH試験で得られた主要結果は、それぞれ昨年12月および本年2月に発表している。
 ウパダシチニブの潰瘍性大腸炎に対する規制当局の承認はされておらず、その安全性および有効性は評価されていない。

◆ アッヴィ バイスチェアマン兼プレジデントのマイケル・セヴェリーノ医学博士(M.D.)のコメント
 潰瘍性大腸炎は、症状の予測がつかず炎症が生じる疾患といわれ、しばしば日常生活に支障をきたす可能性がある。今回の結果は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者さんにとってウパダシチニブが治療選択肢となり得ることを示しており、今後の開発の後押しとなるものである。

◆ カルガリー大学内科教授兼IBD部門長のリモ・パナチオーネ医学博士(M.D.)のコメント
 潰瘍性大腸炎の大きな負荷を伴う症状に、多くの患者さんが不安を感じている。本試験の良好な結果は、ウパダシチニブが52週時に臨床的、内視鏡的および組織学的転帰を改善しうることを示している。これは炎症性腸疾患(IBD)領域にとって希望の持てるニュースである。

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