14日より新型コロナウイルスの下水疫学調査サービス開始  塩野義製薬

 塩野義製は14日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の下水疫学調査サービスを同日より開始したと発表した。
 同社は、北海道大学と昨年10月に共同研究契約を締結し、下水中のSARS-CoV-2の高感度検出技術の共同研究に取り組んできた。本年4月からは、大阪府の協力のもと、本検出技術を活用し、下水処理場の流入下水を使用したSARS-CoV-2の定量的モニタリングを実施し、SARS-CoV-2の定量的検出が可能であると確認。これを受けて、14日より同検出技術を用いた各自治体の下水処理場への流入下水を対象としたサービス提供を開始した。
 同サービスは、下水疫学に基づき、下水中に含まれるSARS-CoV-2の濃度の定期的なモニタリングにより、対象地域におけるSARS-CoV-2の感染状況を調査するというもの。
 各自治体の下水処理場において、定期的に下水を採取しモニタリングをおこなうことで、対象地域の感染状況把握への貢献が期待される。
 SARS-CoV-2感染者の糞便中には、発症の前段階からウイルスが存在する可能性が指摘されており、米国やオランダでは、施設や都市の下水に含まれるSARS-CoV-2を定期的にモニタリングすることで、流行状況の早期検知や収束判断などを行っている。
 日本においては、米国や欧州の一部の国・地域と比較して、人口当たりのSARS-CoV-2感染者数が少なく、下水中のSARS-CoV-2濃度が低いため、都市の下水からウイルスを検出するためには、感度の高い検出技術が必要とされていた。
 下水疫学調査の結果は、個人が特定されない形で地域のSARS-CoV-2の感染拡大や収束の傾向を把握できるため、各自治体が感染拡大予防策を講じる際の1つの客観的な指標としての活用が期待される。
 現在、塩野義製薬は、株式会社島津製作所とともに、下水疫学調査の早期社会実装を目指して、業務提携に向けた協議を進めている。
 両社の強みを融合することで、水中に含まれるウイルスのモニタリングデータをもとにした感染状況や変異株の発生動向などを早期に検知可能とする下水モニタリングの社会システム構築を目指す。

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