カルケンス P3試験で慢性リンパ性白血病患者での心房細動発現率減少  アストラゼネカ

 アズトラゼネカは14日、カルケンスについて、治療歴を有する慢性リンパ性白血病の患者において、イブルチニブと比較して心房細動の発現率が減少し、初回治療として4年時点の患者のベネフィットも持続したと発表した。
 イブルチニブとの直接比較試験であるP3相ELEVATE-RR試験の最終結果から、欧米において成人で最も一般的な種類の白血病である慢性リンパ性白血病(CLL)の治療歴を有する成人患者において、無増悪生存期間(PFS)の非劣性と、心房細動の統計的に有意な減少が示されたもの。
 加えてP3相ELEVATE-TN 試験における4年時点での追跡調査結果から、治療歴のないCLL患者を対象とした併用療法または単剤療法として、カルケンスの強固な PFS のベネフィットが引き続き示された。
 両試験の結果は、7日に開催された2021年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された。
 ELEVATE-RR 試験では、追跡調査期間の中央値 40.9 カ月時点で、主要評価項目である PFにおいてイブルチニブに対する非劣性を達成し、PFS 中央値は両群ともに 38.4 カ月であった(ハザード比[HR]1.0、95%信頼区間[CI]0.79-1.27)。
 カルケンスを投与した患者では、イブルチニブを投与した患者と比較して、主要な副次評価項目である全グレードの心房細動の発現率が統計的に有意に低いことが示された(16.0%に対し 9.4%)。
 
 ◆オハイオ州立大学特別栄誉教授・ELEVATE-RR 試験の治験責任医師のJohnC. Byrd氏のコメント
 心臓の有害事象は、重大な病的状態を引き起こし、治療中止に繋がる可能性もあるため、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤による慢性リンパ性白血病患者の治療において重要な考慮事項となる。
 これらのデータは、カルケンスが忍容性の良好な治療選択肢であり、心血管系毒性が低く、有害事象による中止が全体的に少なかったことを示す説得力のあるエビデンスとなる。医師にとって本剤を処方する際には、患者さんの病気をコントロールしながら治療を継続できているという自信にもつながる。

 ◆オンコロジー事業部門エグゼクティブバイスプレジデントのDave Fredrickson氏のコメント
 忍容性は、長年にわたり薬物療法を続け、複数の併存疾患を経験することが多い慢性リンパ性白血病患者の治療において重要な因子である。
 ASCO で発表された両試験の40カ月間におよぶ追跡調査であるカルケンスの包括的なデータ評価により、この治療薬における良好なリスク・ベネフィットに関する信頼が確立された。これらの結果は、この深刻な慢性疾患とともに生きる人々にとって、カルケンスが望ましい選択肢であるという強固なエビデンスである。

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