肺がんの早期診断・早期治療促進の共同研究で合意 アストラゼネカと京都市

アストラゼネカと京都市は28日、京都市における肺がん患者さんのがん検診受診率や治療パターン、予後など行政系医療介護データを分析・調査するための共同研究に関する覚書に合意したと発表した。
 肺がん領域において、京都市民の健康増進や医療の質の向上を実現するため、肺がんの早期発見・早期治療に弊害となる課題を見つけ、その課題を解決するための政策立案や行政執行を行うことを目的としたもの。
 なお、同共同研究は、京都市が京都大学とともに進める肺がんや生活習慣病に係る共同研究に基づき、京都市が推進する産学公の連携による医療、介護等統合データ分析事業の一環として実施する。
 日本人の約2人に1人が生涯のうちにがんに罹患すると推計されており、がんは日本人の健康と命において非常に重大な問題となっており。
 平成30年には、「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す。」を目標とした「がん対策推進基本計画(第三期)」も閣議決定された。
 こうした中、がんの中でも特に肺がんは、治療が困難ながんの一つとされていて、がんで亡くなる人のうち最も多いとされている。肺がん患者の身体的、経済的な負担のみならず、社会においても肺がん患者増加による財政負担などが増している。
 その一方で、それらの問題を総合的に分析した地域ごとの研究例は少なく、肺がんの早期発見・早期治療に向けた地方自治体による効果的な対策の実施が難しい状況が考えられる。

 ◆アストラゼネカ執行役員・メディカル本部長の松尾恭司氏のコメント
 本共同研究により、肺がん患者さんの未病段階から治療段階における一連の実態を把握し、健康を維持増進するための要因や有効なモデルが明らかになることで、肺がんの早期発見・早期治療による死亡率の減少や医療費の削減など、さまざまな課題解決に貢献できる可能性がある。
 本共同研究を通じて、京都市が推し進める健康増進施策に寄与し、京都市の肺がん死亡率減少に貢献したいと強く願っている。

 ◆門川大作京都市市長のコメント
 京都市では、全死因の約29%にあたる年間約4300人ががんで、うち約930人が肺がんで死亡している。また、特に男性の場合、肺がんによる死亡者数は、次に死亡者数の多い胃がんに比べて約2倍にも上る。
 産学公で一層連携を深め、この共同研究の成果を肺がんの予防や早期発見・早期治療につなげて行きたい。
 同共同研究の概要は次の通り。
 ◆研究内容:肺がんの実態(発生状況、治療実績等)や治療内容等の違いによる予後(死亡率、治療費等)等
 ◆実施におけるアストラゼネカの役割:研究テーマの検討、データ分析における人員確保や費用面でのサポート
 ◆試験期間:約1年間(2021年5月~2022年3月)

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