遅発性ジスキネジア治療薬「バルベナジン」国内製造販売承認申請  田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は22日、小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)阻害剤MT-5199(一般名:バルベナジン)について、同日、遅発性ジスキネジアを適応症とした医薬品製造販売承認申請を厚労省に行ったと発表した。
ニューロクラインバイオサイエンス社(米国サンディエゴ)から導入したバルベナジンは、神経終末に存在するVMAT2を阻害することで、ドパミン等の神経伝達物質のシナプス小胞への取り込みを減らし、不随意運動の発現に関わるドパミン神経系の機能を正常化する。
 米国では、2017年4月に遅発性ジスキネジアを適応症とした医薬品として初めて承認されており、INGREZZAの製品名で、ニューロクライン バイオサイエンス社が販売している。
 バルベナジンの有効性および安全性を確認するため、田辺三菱製薬は2017年6月から国内P2/3相試験(J-KINECT試験)を実施した。
 その結果、有効性の主要評価項目である、投与6週後の異常不随意運動評価尺度(AIMS)合計スコアのベースラインからの平均変化量において、プラセボに比べ有意な改善が認められた。また、安全性については、これまでに報告されているバルベナジンの安全性プロファイルと大きく異なる傾向はみられなかった。
 遅発性ジスキネジアは、抗精神病薬などを長期間服用することで起こる不随意運動で、ドパミン受容体の感受性増加等が原因と考えられている。症状は、患者ごとに異なり、舌を左右に動かす、口をもぐもぐさせるなど、主に顔面に現れるが、四肢や体幹部でも認められる。重症化すれば、嚥下障害や呼吸困難を引き起こす可能性があり、重篤な状態になる患者も存在する。
 田辺三菱製薬は、「日本ではまだ承認された治療薬がないため、承認取得後はすみやかに患者へ治療薬を届けしたい」との考えを示している。
 また、バルベナジンについて同社は、独占的開発・販売権を有するシンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、韓国においても、2020年に承認申請を行っている。

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