女性の頭皮のニオイは30 代がターニングポイント ロート製薬

 ロート製薬は8日、加齢に伴う女性の体臭変化に関する研究の一環として、新たに実施した頭皮臭の研究結果を発表した。
 それによると、女性は年齢とともに頭皮のニオイが変化し、そのターニングポイントは 30 代であることを確認。また、2017年に弊社体臭に関する研究成果として確認された「若い頃特有の甘いニオイ」である「ラクトン」が頭皮からも確認され、年齢とともに減少することが明らかになった。これらの結果から、女性の加齢臭に対するアプローチとして、単純に洗浄によりニオイを落とすだけでなく、ラクトンの香りの付与により、加齢による女性の頭皮臭の悩みにより効果的なアプローチが期待される。
 ロート製薬ではこれまで、女性の年齢と体臭変化の研究は行ってきたが、意識調査をしていく中で、女性の多くが加齢に伴う頭皮臭の変化を感じていることが判明した。だが、頭皮のニオイに関する研究は行っているものの、年齢と頭皮臭の変化に関する研究はあまり進んでいなかった。
 そこで、今回の研究では、10代~50代の女性を対象に頭皮臭の官能評価を行った。また、頭皮臭の原因成分を解析し、年齢との相関性を確認した。加えて、髪のニオイが人の印象に与える影響を調査し、ラクトンの香りが見た目の印象に対してどういった影響を与えるかを調査した。
 その結果、「10 代~50 代女性の頭皮臭を評価したところ、頭皮臭が年代により変化があり、30代がターニングポイントである」ことを確認。
 さらに、「頭皮臭の変化の原因として、“若いころ特有の甘いニオイ”であるラクトンが頭皮にも存在し、年齢と共に減少」、「加齢臭の代表成分として知られる“2-ノネナール”が年齢と共に増加」することが示唆された。
 髪のニオイが人の印象に与える影響の調査では、「頭皮臭」に対し、「頭皮臭+ラクトン含有香料」で印象年齢が-1.7歳に、加えて人に好印象を与える傾向が確認された。

 頭皮臭の研究内容の詳細と結果、今後の展望は次の通り。

1)頭皮臭は年代によって違いがあることを発見 30 代がターニングポイントに!

 10代から50代の女性39名に対して、頭皮を布(脱脂綿)でふき取ったものを、専門パネラーにより6段階臭気強度表示法を用いて官能評価を実施し、頭皮臭評価を行った。
 布全体の臭気強度は30 代平均が最も高いスコアであり、年代間で差が見られた。また、加齢臭、SWEET 臭の項目においても年代間で差が見られた(図1)。

図1 各年代における官能評価スコアの平均とその年代間比較

試験方法: 被験者の頭皮を布(脱脂綿で)拭き取り、専門パネラーにより、6  段階臭気強度表示法(スコア:0-5)にて、布全体、汗臭、加齢臭、皮脂臭、蒸れ臭、SWEET 臭®を評価項目として官能評価を実施した。

(n=39、10-50 代女性)(ロート研究所実施)

2)頭皮臭に「ラクトン」が存在 30代以降「ラクトン」が減少することが明らかに

 頭皮臭サンプルに対し、成分分析を行ったところ、ラクトンC9/ラクトン C10/ ラクトンC11の濃度が年齢と共に減少していく傾向を示した。また、各年代における頭皮臭中のラクトン濃度を合算したものを比較したところ、10代、20代の若年女性と、30代、40代、50代において有意差を示した(図 2)。


図 2 各年代の頭皮臭成分中のラクトン C9/ ラクトン C10/ ラクトン C11 濃度の合算と年代間比較

試験方法:      被験者の頭皮を脱脂綿で拭き取ったサンプルに対し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析装置

(HS-GC/MS)を用いて、ラクトン成分の濃度と各年代との相関を調べた。(n=39、10-50 代女性, ロート研究所実施)

3)頭皮臭の「2-ノネナール」は 30 代以降上昇傾向

 世代間で差を生じさせた原因物質を特定するために機器分析を行ったところ、2-ノネナールは30歳以下では検出限度以下である一方、30歳以降で増加する傾向を示しました(図 3)。

図 3 年齢と頭皮臭成分中の 2-ノネナール濃度の関係

試験方法:   被験者の頭皮を脱脂綿で拭き取ったサンプルに対し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析装置(HS-GC/MS) を用いて、2-ノネナールの分析を行った。

さらに、年齢との相関を調べた。

(n=39、10-50 代女性, ロート研究所実施)

4)髪のにおい 「ラクトン」で女性が好印象になる傾向を確認

 髪のニオイが人の印象に与える効果について検証をするために、毛束にモデル頭皮加齢臭を塗布したものと、モデル頭皮加齢臭+ラクトン含有香料を塗布したもので人の印象を比較した。
 モデル頭皮加齢臭を嗅ぎながら写真の人物の年齢を推測した場合、モデル頭皮加齢臭+ラクトン含有香料を嗅いだ場合と比較して、-1.7歳と見た目年齢を引き下げる結果となった。
 また、日常生活/通勤/職場を想定した場合の印象を質問したところ、モデル頭皮加齢臭+ラクトン含有香料では、モデル頭皮加齢臭と比較し、「清潔感がある」「イキイキしている」などの好印象の評点が高い結果となった(図 4)。

図 4 髪のニオイが及ぼす印象の変化

 試験方法: モデル頭皮加齢臭を塗布した毛束、モデル頭皮加齢臭+ラクトンを塗布した毛束、無賦香の毛束を嗅ぎながら、ランダムに提示した5名の女性の写真を見て、その人物の年齢を及び印象に関するアンケート調 査を行った。

(n=32)(ロート研究所実施)

◆今後の展望
 同研究成果により、一般的な女性の多くが感じていた加齢に伴う自分自身の頭皮臭変化の実態が明らかとなった。年代により頭皮臭が異なり、そのターニングポイントが30代にあること、その原因の一つとして、若年女性特有にSWEET臭があることが分かった。
 この原因成分を特定した結果、ラクトンC9/ラクトンC10/ラクトンC11であることが示され、これらの成分の加齢とともに低下する現象が示唆された。
 また、加齢とともに2-ノネナール量が増加する傾向が確認された。ラクトン含有香料を塗布した髪のニオイが人に与える印象に関する調査により、無賦香及びモデル頭皮臭と比較すると、印象年齢を若くし、清潔感があり、イキイキした印象を与える結果が得られた。
 これらの結果から、女性の加齢臭に対するアプローチとして、単純に洗浄により落とすだけでなく、ラクトンの香りの付与により、加齢による女性の頭皮臭の悩みに対しより効果的なアプローチが可能であると考えられる。
 これらの研究成果は 昨年10月に行われた日本味と匂学会第54回大会、および本年2月に行われた日本化粧医療学会第2回学術総会で発表された。ロート製薬では、引き続き加齢に伴う体臭変化に関する研究に取り組んでいく。

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