カルケンス 日本で再発・難治性慢性リンパ性白血病で承認取得 アストラゼネカ

 アストラゼネカは25日、次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬のカルケンスについて、22日付で、再発・難治性慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)で効能効果を取得したと発表した。今回の厚労省による承認は、国内P1相試験および国際共同P3相試験(ASCEND試験)の中間解析の良好な結果に基づくもの。
 ASCEND試験の中間解析では、カルケンス単剤療法群は、リツキシマブと治験担当医師の選択によるidelalisibまたはベンダムスチンの併用療法群と比較して、無増悪生存期間(PFS)において統計的に有意で臨床的に意義のある改善が示された。カルケンスは、病勢進行または死亡のリスクを69%減少させた(ハザード比:0.31、95%信頼区間:0.20-0.49、p <0.0001)。
 なお、これらの結果はJournal of Clinical Oncology( https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.19.03355 )(2020年1月)で発表されている。
 慢性リンパ性白血病(CLL)は、欧米では最も患者数が多い白血病であるが、日本および東アジアでは稀な疾患と見なされており、白血病と診断された患者の1~2%を占める程度である。
 P3ASCEND試験では、カルケンスを投与した再発/難治性CLL患者さんの推定88%が12カ月後に生存および病勢進行が認められなかったのに対し、対照群であるリツキシマブとidelalisibまたはベンダムスチンの併用投与を受けた患者さんにおいては68%であった。また、16.1カ月(中央値)の追跡調査において、対照群は16.5カ月のPFSであったのに対して、カルケンス単剤療法群は有意に改善した。
 丸山大がん研究会がん研有明病院血液腫瘍科部長は、「ASCEND試験において、カルケンスが現在の標準治療と比較して無増悪生存期間を有意に改善することが示され、新たな治療薬として承認されたことは、日本のCLL患者さんにとって大きな進歩と言える」と強調。
 さらに、「長年にわたり継続的な治療を必要とすることが多いCLL患者にとって、安全性と忍容性が確認されたレジメンによる治療は最も重要な課題のひとつとなっている」とコメントしている。
 大津智子アストラゼネカ執行役員研究開発本部長は、「日本におけるCLL有病率は他の地域に比べると低いが、これらの患者に革新的な治療選択肢を提供することは、やはり重要である」と明言。
 その上で、「今回のカルケンスの承認は、日本の患者に、有効性を損なわずにQOLを改善する可能性のある、化学療法を含まない、忍容性の確認された新たな治療選択肢を提供する」とコメントしている。

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