塩野義製薬の手代木功社長は5日、社内向け年頭所感を発表した。内容は次の通り。
昨年は、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)により、世界が一変してしまった 1 年であった。命を落とされた方々、そして今も苦しんでおられる方々に心からのお見舞いを申し上げたい。
この1年で、我々は感染症を標榜する企業として、これまでのスピード感や能力では、世界の人々の切迫したニーズに応え続けるられなことを学んだ。
4つのステークホルダーズ(顧客、社会、従業員、株主・投資家)から「生かしてもらう」ためには、改めて「何ができ、何をすべきか」を学びから実践に移行しなければならない。その上で、2021 年へ向けてのポイントを提示したい。
まず、2030年にシオノギが生き残るために必要な事項に限られた資源を集中し、そして業務の「スピード」への先入観をゼロベースで「壊す」ことである。 感染症という発症から解決までのスピードが必要な領域を標榜するシオノギだからこそ、今回のパンデミックからタイムラインに限界はないことを学ばなければならない。
さらに、「貪欲な成長にとことん拘る」ことだ。「成長」とは必ずしも量的な成長だけではなく、今までできなかった取組みや効率を上げての質的な改善の持続も「成長」である。COVID-19 で世界は未だ混乱の中にあるが、次のフェーズに向け、成長に貪欲に拘ることが重要だと考えている。
今までの延長ではシオノギの存続はあり得ない。成長にとことん拘り続け、STS2030で掲げた「HaaS(Healthcare as a Service)企業」に必要なものごとへ資源を投下し、業務のスピードを今までの「常識」から解放する。それが2021年のシオノギファミリーに求められている。
これらを実行するための1年を表す一文字として、皆さんに「新」を贈る。「今までになかった、進んだもの」という意味に加えて、「以前のものを違った状態で悪い点や足りないところを直す」、また「生きていくために必要な力を持っている」という意味がある。シンプルな文字だが、2021年のシオノギファミリーに最もふさわしい一文字だと考えた。「新」の文字に込めた私の想いを是非受け止めていただいた上で、共に次のフェーズへの本格始動を行いたいと思う。