コロナ禍でトレーニングする人の約6割が筋力低下を実感     森永製菓が実態調査

 森永製菓は7日、 週3回以上トレーニングしている男女600人を対象とした「筋トレ意識と実態調査」結果を公表し、コロナ禍により約6割の人が、特に女性50代の7割以上が「筋肉低下」を実感していることを明らかにした。
 森永製菓は、これまで、スポーツを通して食と健康のあり方を考え、アスリート、スポーツ愛好家、子どもから高齢者まで、老若男女すべての人の健康をサポートするために、筋肉の重要性を訴求し続けてきた。
 近年、筋トレブームにより筋トレや運動をする人が増加しているが、週3回以上トレーニングを行っている600人を対象に、筋トレにおける実態と課題について調査を行った(調査期間:7月8日~13日)。
  その結果、新型コロナウイルス感染症が社会問題化して以降、外出自粛などで筋肉量や筋力が低下したかの質問には、24.9%が「低下したと思う」、31.7%が「やや低下したと思う」と答え、全体の56.6%が筋力の低下を感じている。年代別では、男性は40代(56.8%)、女性は50代(72.7%)が、「筋力低下」を実感する人が多くなっている。

コロナ禍を機に8割以上の人がおうち筋トレの頻度増加

 コロナ禍以降、「筋トレ・運動を開始」したと回答した人が14.2%となった。また、コロナ禍で筋トレや運動を「自宅」で行う頻度の変化を聞くと、83.3%が自宅でのトレーニングが「増えた」と答え、年代別では男性は40代(93.8%)、女性は20代(94.5%)が最も多い結果になった。

筋トレ効果を実感できている人は2割以下!多くの人が筋トレに悩みアリ

 普段どんなトレーニングをやっているかの問いでは、週1回以上行うトレーニングは、腕立て伏せや腹筋、背筋運動、スクワットなどの「自宅や屋外での自重筋トレ(82.7%)が最も多く、「ウォーキング」(57.8%)、「体操」(37.7%)の順であった。
 性別・年代別に見ると(図1)のようになり、世代性別を問わず、器具を使わない自重筋トレがよく行われている。


(図1)


 今回の調査は、筋トレを習慣的に行っている人が対象だが、日頃のトレーニングに対して実感する効果を聞くと、「しっかり効果を感じている」と回答したのは19.1%のみであった。
 トレーニング歴別に見ると、10年以上筋トレをしてる人でも「しっかり効果」を実感しているのは19.6%と、ほとんど変わりなく、長くトレーニング続けているからといって、効果が実感できるわけではない。

7割が自身の運動やトレーニングに「悩み」

 「自身の筋トレや運動に関する悩みがあるか」の設問では、「悩みない」は31.5%で、残りの68.5%は何らかの悩みを抱えていることがわかった。悩みがあると答えた411人にその内容を聞くと、「自分に合ったトレーニング量がわからない」(56.5%)、「自分に合ったトレーニング方法がわからない」(47.5%)、「トレーニングの成果を感じることができない」(33.4%)が上位に挙げられた。

52%の人が陥る「筋トレロス」とは?

 筋トレ効果を実感できてない人の原因を探るために、トレーニングによる「酸化ストレス度」を把握するための9つの項目を提示し、普段のトレーニングであてはまるかどうかを聞いた。9項目の「酸化ストレス度チェック」は、後藤一成氏(立命館大学スポーツ健康科学部教授)のアドバイスにより作成したもの。
 これら9項目はいずれも酸化ストレスを発生させる可能性があるが、3項目以上あてはまると、酸化ストレス度が高まり筋肉がつきにくくなる状態を引き起こす可能性が高まる。トレーニングする人の約半数がその状況になっていることが判った。
 酸化ストレスとは、活性酸素の発生によって人体に起きる有害な作用を意味する。筋トレによって筋力アップや筋肥大を目指す場合、筋肉に強い負荷をかける必要があるが、筋肉に強い負荷をかければ、活性酸素が発生する。活性酸素が抗酸化能(人体の酸化に対する防御システム)を上回ると酸化ストレス状態になり、筋肉のたんぱく質が酸化され、筋肉がもともと持っている力を出しにくい状態になる。


 さらに、チェックリストであてはまる項目数と筋トレ効果の実感度の関係性を見たところ、実際にあてはまる数が多い人ほど、筋肉がつかない(成果が出ない)と感じている人の割合が多いことが判った(図2)。 また、酸化ストレスのチェック数をトレーニング歴別に見ても大差はなく、約半数が酸化ストレスのリスクが高いまま、長い期間トレーニングを続けている。(図3) 。
 近年、売れ残りや期限が近いなどで本来食べられる食品が無駄になっている「食品ロス」が問題になっているが、森永製菓では、筋力トレーニングで無意識のうちに酸化ストレスをため、トレーニング効果を無駄にしている状況を「筋トレロス」と名付け、酸化ストレスを減らすことの重要性を啓発していく考えだ。


 今回の調査結果では、約6割の人が筋力低下を実感しており、特に男性では40代からが高い傾向を示している。筋力は加齢によって早い人では20代から大腿部の筋力が年々減少していく。20代、30代ではコロナ禍によっていきなり「筋力が低下した」、「階段を昇りづらくなった」といった実感はしづらいと思われるが、40代以降にもなると元々の加齢に伴う筋力低下に加えて、コロナ禍による活動低下によってさらに筋力低下が加速することになり、それが男性40代以上の実感が跳ね上がる結果につながっていると考察される。
 コロナ禍による歩数減少の影響は、今は歩数が減っただけかもしれないが、これからしばらくたってから大きな影響が生じてくる可能性がある。積極的に外を歩くだけでなく、自宅で腕立て伏せやスクワットをするなどの筋トレを習慣化して筋力を維持することが望ましいと言える。

コロナ禍こそ、今まで以上に筋トレロスを防ぐ自己管理と栄養素の知識を

 調査結果では「トレーニングしていても筋肉・筋力がつかないと感じる割合」は、チェック項目の個数に沿って非常に綺麗な結果となっている。9項目のうち、6~7個つくような人はオーバートレーニングに近い状態だといえるだろう。これは、せっかく激しい筋トレを行っても無駄になってしまう筋トレロスの状態に近い。
 コロナ禍の影響が当面続くような見通しが広がる中、専門的なスポーツ施設に通いづらい環境に長期的に付き合っていく必要がある。フィットネスクラブなどに行けば、トレーニングや栄養素、休息の取り方などの知識を得ることができる。だが、自宅でのトレーニングは、全て自分自身で管理をすることになる。筋力低下やオーバートレーニング、無駄な筋トレを行う筋トレロスにならないためにも、栄養素や休息の取り方などの様々な知識が今まで以上に必要になると思われる。
 これからは日常生活の中に筋トレを取り入れることを習慣化しながら、トレーニング後には、しっかりと良質のたんぱく質や抗酸化成分をとることをセットにしつつ、あまり無理をせずに続けていけるような自分なりの戦略を整えていくことを意識すると良いだろう。

後藤氏

強い抗酸化作用を持つEルチンが筋肉の回復と成長に貢献

 後藤氏らは、たんぱく質と一緒に摂ることで筋肉づくりによい影響を与える食品成分を求めて、「Eルチン」という成分について森永製菓と共同研究を行った。Eルチンは、酵素処理ルチンの略である。ルチンは、そばなどに含まれるポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用を有し、機能食材として注目されている。このルチンが酵素処理されると、水に溶けやすく体内に吸収されやすくなる。このことから筋肉の損傷抑制、回復促進などの作用が期待できると考えた。
 そこで、成人男性に強度の高い筋力トレーニングの前後、たんぱく質とEルチンもしくはたんぱく質だけを摂取してもらい、その影響を調べてみた。その結果、たんぱく質とEルチンを一緒に摂取すると、筋肉の合成を促すインスリンの分泌が増加することが判った。
 Eルチンのように筋肉によい影響を与える成分は、アスリートやスポーツ愛好家の人のみならず、一般の人々の健康にも貢献できると考えている。筋肉は活動するためのエンジンであるとともに、体の中で最もエネルギーを消費する器官でもある。従って、筋肉量を増加、あるいは維持させることは、身体活動量の低下や加齢に伴う生活習慣病のリスクを軽減する上でも、きわめて重要であると考えられる。 

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