新型コロナ禍でも大規模イベント開催を可能にするソリューション開発  アルム

 アルム(東京都)は19日、同社が開発・提供する救命・健康サポートアプリ「MySOS」を改良し、スマートフォン内蔵カメラ技術を組込んで、新型コロナウイルス (COVID-19)診断の重要な指標となる「SpO2(血中酸素飽和濃度)」、「呼吸数」などの測定を可能にしたと発表した。
 さらに、専門医療体制や自治体や保険会社との連携により、世界初となるワンストップで厳重な感染症リスク管理をパッケージ化した新型肺炎感染対策ソリューション「MyPass」を開発したことも併せて公表。これによりフルキャパシティの大規模イベント開催の可能性を向上が期待できる。
 新型肺炎の診断では、「体温」「自覚症状」「SpO2(血中酸素飽和濃度)」「呼吸数」が重要な指標とされている。アルムが提供している「MySOS」では、スマートフォン内蔵カメラでSpO2(血酸素飽和濃度)と呼吸数を自動計測、記録する。この技術は、アルムが日本で初めてアプリに搭載し、薬事承認取得を目指している。
 今回新たに開発された感染症対策ソリューション「MyPass」は、チケット情報と連動した数千、数万人規模のイベント参加者へ事前に送られたMySOS専用検査キット(PCR・抗体検査)による結果を「MySOS」を通じてアップロードしたり、イベント当日までの10日間以上の体温や嗅覚などの自覚症状、SpO2(血中酸素飽和濃度)、呼吸数を「MySOS」に記録することで、参加者の感染リスク状況を把握することをベースとしている。
 さらに、当日来場時には、スクリーニング(感染の疑いがある参加者には医師によるPCR検査ならびに専門医診断)を行う。イベント後に感染が発覚した場合は、電子チケットシステムの情報から座席を追跡でき、濃厚接触者や保健所への連絡、医療機関への受診勧奨も行う。また、保険会社との連携により、感染を自己申告した参加者に対する補償体制を用意することで、より正確な感染状況の把握が期待される。
 これらのステップにより感染症リスクの最大限管理により、フルキャパシティでのイベント開催、イベントの開催前から開催後までのすべての参加者の健康状態を把握できる仕組みになっている。同ソリューションは、8月に提供開始を予定しており、同研究の目指す感染症対策システム実証のためのデータ収集に継続して貢献する。
「MyPass」は、アルムが既に特許を取得しているシステム、および新たに特許申請しているシステムにより実現する。なお、同ソリューションを通じた感染対策のためのデータ収集・研究・社会実装は、日本医療研究開発機構(AMED)による令和2年度 「ウイルス等感染症対策技術開発事業」に採択された「LINEと連携した新型コロナウイルス感染症自宅・宿泊療養患者向けSpO2測定スマホアプリモニタリングシステムの実証研究」(代表機関:アルム、共同研究機関:東京医科歯科大学藤原武男教授)の一環として行われる。
 新型肺炎感染対策ソリューション「MyPass」に対する関係者のコメントは次の通り。
 ◆同システムを監修する藤原武男東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授:来場者は、新型肺炎の診断をするうえで必要となる「体温」「自覚症状(味覚障害、嗅覚障害、呼吸苦、咳、息切れ、咽頭痛など)」「SpO2(血中酸素飽和濃度)」「呼吸数」情報を10日間測定し、事前にPCRや抗体検査を行う。
 さらには当日の検温と、感染の疑いがある場合にはPCR検査をするという、包括的な対応のできるこのシステムは画期的であると考える。感染拡大の防止と経済活動の維持の両立をはかるための中心軸となることを期待している。ますは、このシステムの有効性を実証実験で明らかにしていきたい。
 ◆新型コロナウイルス感染症に対してITやデータを活用した対応策を官民連携で検討・実装する「内閣官房新型コロナウイルス対策テックチーム」事務局長を務める平将明内閣府副大臣:新型コロナウイルス感染症の影響で、ライブハウスやコンサート会場、劇場、イベント会場等、多くの参加者の入場により成り立つビジネスが危機的状況にある。感染拡大防止と経済対策を両立させるためにも、ITの活用は鍵となるものであり、ベンチャー企業などの機動的な取組で、現状を打開する技術開発が迅速に進むことを期待している。

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