武田薬品、アムジェン、UCB社が新型コロナ薬の治験患者登録開始

 COVID R&D Allianceのメンバーであるアムジェン、武田薬品、UCB社は1日、COMMUNITY(COVID-19 Multiple Agents and Modulators Unified Industry Members)試験に最初の患者を登録したと発表した。COMMUNITY 試験は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者を対象とした複数の治療薬候補の検討が可能な、無作為化二重盲検プラセボ対照 アダプティブ・プラットフォーム試験である。
 COVID-19による死者数が世界で100万人を超え、感染者数が世界規模で再び急増している中、ライフサイエンス企業は、COVID-19 による入院患者の重症度を軽減できる可能性がある治療薬の特定に向けて緊急の取り組みを進めている。
 COMMUNITY試験は、COVID-19 やその関連症状に対する治療候補薬、新規抗体医薬品、抗ウイルス薬の開発加速に向けて膨大な時間、知見、および企業リソースを注ぎ込んでいる世界トップクラスの医薬品企業およびバイオテクノロジー企業20社以上が参画するCOVID R&D Allianceのメンバーによって設計され実施される初めてのプラットフォーム試験である。
 COMMUNITY 試験では、試験を進める中で複数の治療薬候補の追加、排除、および同時検討ができるアダプティブデザインを採用しており、1 つの共通のプラセボ対照群に対して複数の候補薬が比較検討される。アダプティブデザインの採用により、試験は効率化され、試験の実施が加速されるとともに、パンデミックに対処し得る治療薬の探索のための時間が節約される。
 COMMUNITY試験で検討される最初の候補薬は、免疫調整薬だ。将来的には、抗ウイルス薬など他の治療薬が試験に追加される可能性がある。
 同試験の計画書およびグローバルでの治験実施は、COVID-19 治療薬の試験で障壁となりうる問題に対処できるよう設計された。例えば、地域ごとの症例数の増減を予測した上での治験実施施設決定や、一部の医療機関および医療システムに集中しがちな治験依頼の平準化などが含まれる。
 COMMUNITY試験では、米国、ブラジル、メキシコ、ロシア、南アフリカなどの国におけるグローバル治験実施医療機関を指定する。このような地理的多様性により、症例が局所的に急増した場合でも、治験の継続が可能になる。 COMMUNITY 試験は、治験を簡素化することで、より迅速に治療選択肢が届け、入院患者の治療に役立つことを目指す。
 コントロール不良の血管および免疫炎症反応は、COVID-19の重症患者にみられる顕著な症状であることが確認されている。このような患者では、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や脳卒中、死亡のリスクが高まるおそれがある。COMMUNITY試験に追加される最初の治療薬は、次の通りで、免疫反応またはそれによって生じる炎症を抑制またはコントロールする可能性に基づいて選択された。これら治療薬のうち、COVID-19 やその関連症状の治療薬としてFDAやEMAをはじめとする保健当局から承認されているものはなく、いずれも臨床試験段階にある。
◆アムジェン社のオテズラ(一般名:apremilast):免疫反応による炎症を抑制する可能性がある。
◆武田薬品のlanadelumab:静脈内注射製剤で、カリクレイン-キニン系の調整によりブラジキニン産生を抑制することで、炎症を軽減する可能性がある。
◆UCB社のzilucoplan:臨床段階の治療候補薬だが、ARDSの原因となる免疫系の過剰活性化を抑制する可能性がある。
 オテズラは今週、COMMUNITY試験での検討が開始された。lanadelumab とzilucoplanは、今後数週間以内に検討が開始される予定である。今後数ヵ月の間に、他の抗ウイルス薬、免疫調整薬、および血管作動薬が試験に追加される可能性がある。
 COMMUNITY試験では、COVID-19の入院患者を対象とした治療薬の検討を進めている。これには、継続的なケア、酸素補給、非侵襲的換気療法または高流量酸素療法、あるいは侵襲的機械換気または体外式膜型人工肺(ECMO)のいずれかを必要とする可能性があるCOVID-19の確定診断を受けた患者が含まれる。同試験では、集中治療室での治療を必要とする患者および集中治療室には入っていないが入院が必要な患者の両方を登録している。
 これにより、COVID-19 の患者が辿る症状の変遷においてどのような治療介入が有効であるかについての理解の深化を目指す。

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