新型コロナに関する妊娠・出産・不妊治療相談事例公開    ティーペック

 ティーペックは14日、新型コロナウイルスに関する妊娠・出産・不妊治療の相談事例を公開した。同事例は、3月1日から6月30日までの期間尾電話相談の中から「新型コロナウイルス」をキーワードに抽出したもの。


 その結果、「妊娠中の人は感染へのリスクから外出や通院を躊躇している」、「自粛や外出制限により、妊娠時のストレスが大きくなっている」、「妊婦関係者は里帰り出産、立ち合い分娩ができないことや感染させないかの不安で相談をする」、「妊活や不妊治療中の人は、継続か一時中断かの葛藤で相談、また、中断をした場合も後悔によるメンタルヘルス相談がある」などの傾向が強かった。
 全般的には、「感染するのではないか」の不安から発生する相談がほとんどで、今後のウィズコロナ時代において場所を問わず外出不要の電話健康相談は妊娠に関わるすべての人に役立つものと考えれた。
 新型コロナウイルスに関する電話相談の中から妊娠・出産、不妊治療に関連する相談事例を、「本人からの相談」と「関係者からの相談」に分けた分析結果は次の通り。


(1)本人からの相談
<出産について>
・出産希望の病院が新型コロナウイルス患者の受け入れをしている。病院を変えた方がいいのか悩んでいる。
・体調不良が続いている。産婦人科医院でインフルエンザ検査とPCR検査をしないと出産させてもらえないと聞いたが陽性の場合どうなるのか?
・切迫流産経験があり、総合病院への転院を勧められたが、コロナ感染が怖い。
・里帰り出産予定だったが難しくなった。近郊で出産受け入れてくれる病院を探したい。
<体調不良・不安>
・息苦しさを感じる。もし感染していた場合、使える薬はあるのか?
・通勤することで感染しないか不安で仕方ない。
・妊娠後期で微熱とだるさが続いているが、受診すべきか悩んでいる。
・仕事や外出で妊娠ストレス解消させていたので自宅待機がつらい。
<感染リスク>
・妊娠初期の微熱かコロナ感染の熱かわからない。どの診療科に行けばいいのか?
・妊婦歯科検診のお知らせが来たが行くタイミングを悩んでいる。
・新型コロナウイルスが流行している国からの輸入野菜を食べてしまったが大丈夫か?
・第2子妊娠中。もし、子供が感染した場合どのような対応をすればいいのか知りたい。
・万一、コロナにかかったら胎児はどうなるのか?
・通院中の病院で感染者が出たらしい。定期健診はどうしたらよいか?
<妊娠希望>
・コロナ禍では妊活は控えたほうがいいのか?
・妊娠を考えている。自分でもいろいろ調べたて、かかりつけの病院にも相談したがどうしたらいいのか迷っている。
・人工授精を考えているが、妊娠できたとしてもコロナに罹ったらどうなるのか心配。

(2) 関係者からの相談
<出産について>
・地方へ里帰り出産予定。里帰りさせてもいいのか。
・海外にいる娘の出産サポートに行けない。海外では何か出産後のサポートがあるのか?
・里帰り出産で娘に勧めて予約した病院でコロナ患者の受け入れが決まった。変更したほうがいいのか悩んでいる。
<体調不良・不安>
・妻が妊娠中で、昨日から自分(夫)に38度の発熱がある。同居しているが大丈夫か。
・娘が妊娠中で、コロナ感染しないか不安で仕方ない。
・PCR検査で陰性だったが、微熱がある。妊婦がいる家庭内での感染防止対策を教えてほしい。
<感染リスク>
・妊娠中の妻の会社は在宅勤務奨励、自分(夫)は出勤だが、大丈夫か。
・幼い子供がいる妊娠中の娘に会いに行く(手伝いに行く)べきか悩んでいる。
・里帰り出産の場合、食事や寝室などすべてを別にしたほうがいいのか?

2.コロナ禍での電話「健康相談」について考察(ティーペックメディカルコールセンターより)
(1)3月~6月の相談より考察


 妊娠している人からの相談では、自身の発熱や咳などの症状が新型コロナウイルスかという心配と妊娠中に感染するリスクや胎児への影響について不安になり電話相談を頂くケースが多かった。他にも、妊婦健診などで通院する不安や、更に産後入院中に家族の面会ができないこと、里帰り出産や産院の選択などを悩んでいる人が多く見受けられた。
 妊婦の関係者からも同様に出産時の立ち会いや面会不可や自身が感染し妊婦にうつしてしまう不安を心配する相談があった。
 妊娠を希望している人からの相談では、妊娠中に何かあったら怖いと思われる人も多く、妊活や不妊治療を一旦休止するべきかの相談や、外出自粛や自宅保育によりストレスを感じ、今後の妊娠への考え方について相談する人もいた。
 全体的に、新型コロナウイルスの特効薬やワクチンがない中での妊娠・出産についての不安や葛藤を抱えている人の相談が多くあった。

(2)今後、ウィズコロナでの電話健康相談利用についてのアドバイス
 新型コロナウイルス感染症による社会不安の中で、医療機関受診へのハードルが高くなり、必要な治療や妊婦・産後健診などを躊躇される人も少なくない。また、新型コロナウイルスに関する情報が錯綜する中で、自身の状況と照らし合わせて不安に陥ることも多いと思われる。
 電話健康相談では、感染防止策を踏まえた受診のアドバイスやオンライン診療実施医療機関について、また新型コロナウイルスに関する様々な情報を相談者のニーズに沿って、伝えることができる。
 「病院に行ったほうが良いか?」「この情報は正しいか?」など、悩むときや、疑問に思った際には、電話健康相談を利用して不安を少しでも解消してほしい。
 また、新型コロナウイルスに関わらず、通常の妊娠や出産、授乳や子育てによるストレスや不安に思う時にも利用し、どのような状況下でも妊娠・出産について、前向きに臨む手伝いをしていきたい。

3.コロナ禍での電話「メンタルヘルス相談」について考察(ティーペックEAPセンターより)
(1)3月~6月の相談より考察


 妊娠している人からの相談では、出勤や通院による感染リスクの増加について不安や懸念を感じられているケースが見受けられた。そのため、職場に対して、在宅勤務や時差出勤、時短勤務の体制がない、あるいは制度化を求めても容認されなかったことについて、不満や不信感を抱いている人もいた。
 また、外出できないことがストレスとなり、イライラや気分の落ち込みの増加など感情面が不安定になった結果、在宅勤務中の配偶者との喧嘩が増えた、家事が思うように出来ず、自己嫌悪に陥るなどの相談も見られた。
 妊娠を希望している人からの相談では、不妊治療での通院を続けたいが、新型コロナウイルスに感染するのではないかという葛藤を抱えているケースや、感染を恐れて不妊治療を中断したものの、後悔が残っていたり、他の妊婦に対して妬ましい気持ちを感じたりするケースが見受けられた。

(2)今後、ウィズコロナでのメンタルヘルス相談利用についてのアドバイス
 妊娠や出産といった、一般的には喜ばしい出来事も、環境の変化という点では大きなストレスとなる。また、不妊治療に向き合っている人は、治療の負担だけでなく、自身の気持ちの揺れ動きなどもあると思われる。
 ウィズコロナの社会状況下では誰しも感染のリスクを抱えながら、自身のストレスへ対処していかなければならない。だが、その状況は人それぞれである。これまでの生活様式が大きく変わったことで、今まで受け流せていたストレスも、心身の状態に影響を及ぼす可能性もある。
 メンタルヘルス相談では、どのような悩みを抱えているのか、どのような対処が考えられるのか、一人ひとりに寄り添って話を伺う。ぜひ、悩みをお一人で抱え込まずに、メンタルヘルス相談の利用を勧たい。

<総括>
 新型コロナウイルス感染症による社会不安の中での妊娠や出産、その後の育児に与える影響は大きく、妊婦や妊娠希望の方へのサポートは、どの時期においても心身ともに必要である。電話相談はヒアリングにより一人ひとりのニーズに応じた相談が可能である。外出しなくても医療専門職に相談できるメリットもあり、ウィズコロナ時代の生活において積極的な利用が望まれる。
 ティーペック(http://www.t-pec.co.jp/)は、24時間電話健康相談事業のパイオニアとして1989年に設立。医師・保健師・看護師などの医療資格者を有するメディカルコールセンターを運営し、セカンドオピニオンやメンタルヘルスカウンセリング、生活習慣病の重症化予防など、健康・医療分野における社会課題の解決を目的とした事業を多数展開。2017年から4年連続で健康経営優良法人『ホワイト500』に認定されている。

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