レルゴリクス 進行性前立腺がんP3試験で好結果

 大日本住友製薬は1日、1日1回の経口剤「レルゴリクス」の進行性前立腺がんを対象としたP3試験(HERO 試験)の追加データで好結果が得られ、New England Journal of Medicine に掲載されたと発表した。同データ結果は、連結子会社のマイオバント・サイエンシズ・リミテッドが5月29日(現地時間)に公表したもの。これらのデータは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)のASCO20 Virtual Scientific Program(開催時期:5 月 29 日~5 月 31 日)においても同時に口頭発表された。
 同試験の追加データにおいて、レルゴリクスは、複数の評価項目においてリュープロレリンと比較し有意な改善を示し、主要な心血管系イベントのリスクがリュープロレリンと比較し 54% 低いことを示した。
 同剤は、同試験において有効性の主要評価項目を達成(本剤投与群 96.7%、リュープロレリン投与群88.8%が48週間にわたって持続的にテストステロンの去勢レベル(<50ng/dL)への抑制を達成)するとともに、リュープロレリンと比較した主な6つの副次評価項目についてもすべて達成(いずれも p<0.0001) した。
 今回発表した副次評価項目の追加データにおいて、同剤による迅速かつ強いテストステロンの抑制、PSA(前立腺特異抗原)の低下および投与終了後のテストステロンの回復が示さた。
 テストステロンの50ng/ dL未満への抑制を達成した患者の割合は、リュープロレリン投与群は投与 4 日目に0.0%、15日目に12.1%であったのに対し、同剤投与群は投与4 日目に56.0%、15日目に98.7% であった。投与15日目にテストステロンの20ng/dL 未満への強い抑制を達成した患者の割合は、リュープロレリン投与群の1.0%に対し、同剤投与群は78.4%であった。
 PSA半減を投与15日目に達成し、29日目に継続していた患者の割合は、同剤投与群がリュープロレリン投与群を上回った(同剤投与群:79.4%、リュープロレリン投与群:19.8%)。
 投与終了後90日以内に通常のテストステロンレベル(≥280ng/dL)となった患者の割合は、リュープロレリン投与群の3%(平均テストステロンレベル:58.6ng/dL)に対し、同剤投与群は54%(平均テストステロンレベル:288.4ng/dL)であった。
 安全性については、同剤投与群の主要な心血管系イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中および全死因の死亡率を含む)のリスクは、リュープロレリン投与群と比較して54%低く(発現率:本剤投与群 2.9%、リュープロレリン投与群 6.2%)、主要な心血管イベントの既往歴を持つ患者においては、リュープロレリン投与群と比較して 80%低い(発現率:本剤投与群 3.6%、リュープロレリン投与群 17.8%)結果となった。
 なお、同試験に登録された患者の 90%以上が、喫煙や肥満などの生活習慣の危険因子、糖尿病や高血圧などの合併症、主要な心血管系イベントの既往歴などの心血管危険因子を、少なくとも1つ以上有していた。
 すでに発表されている通り、同試験における同剤投与群およびリュープロレリン投与群の有害事象の発 現率は同程度(本剤投与群92.9%、リュープロレリン投与群93.5%)であり、同剤投与群で発現割合が高かった有害事象(10 以上)は、ホットフラッシュ、倦怠感、便秘、軽度から中等度の下痢、関節痛であった。
 マイオバント社は、本年4月に同剤の新薬承認申請をFDAに提出しており、承認されれば進行性前立腺がんを適応症とした初の経口 GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)受容体阻害剤となる。

タイトルとURLをコピーしました