アンジェスと阪大が新型コロナウイルスDNAワクチン共同開発

森下氏

 アンジェスは5日、大阪大学(当サイト2月20日既報)と共同で新型コロナウイルス対策のための予防用プラスミドDNAワクチンを共同開発すると発表した。プラスミドDNAワクチンは、安全性が高く短期間に大量生産できるのが大きな特徴で、アンジェスと大阪大学は、オールジャパン体制で、できるだけ早期の実用化を目指す。なお、新型コロナDNAワクチンの製造は、タカラバイオが行う。同社は、既にプラスミドDNAワクチンの製造技術・設備を有している。
 今後の具体的な新型コロナDNAワクチン開発のスケジュールについて森下竜一寄附講座教授(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学)は、「動物実験のためのDNAワクチンはあと2週間程度で完成し、早ければ6カ月後の臨床試験入りを目標にしている」と強調する。各国の新型コロナDNAワクチンに関する製造承認取得の見通しについても、「どれだけ簡素化できるかをこれから各国規制当局と相談したい」とコメントした。
 アンジェスと阪大が共同開発する新型コロナプラスミドDNAワクチンは、新型コロナウイルスの遺伝子をプラスミドに挿入して作製するというもの。もともと鳥インフルエンザウイルスのパンデミック用に構築されたDNAプラスミド法が活用される。
 DNAプラスミド法は、1.「抗原特異的な抗体産生及びTリンパ球活性を惹起する」、2.「様々な抗原に対し、容易に対応できる」、3.「良好な安全性を確認済」ーなどを特徴とする。安全性に関して森下氏は、「鳥インフルエンザ、エボラ、炭疽菌などの臨床試験の実施により良好な安全性が示されており、副作用は想定され難い」と説明する。
 一方、タカラバイオが担当する製造関連にもDNAプラスミド法は、「製造期間が短い(6~8週間)」、「病原ウイルスを扱う必要がない」、「抗原蛋白質の遺伝子配列さえ分かれば製造可能」、「原薬(プラスミドDNA)生産には一般的な培養、精製施設で製造可」、「製剤の安定性に優れる」、「長期備蓄が可能」ーなどのメリットがある。
 また、DNAプラスミド法と従来の鶏卵法のワクチン製造法の比較では、製造期間は前者の6~8週間に対して、後者は6~8カ月要する。新型コロナウイルスなど、異なるウイルスにすぐに対応できるのもDNAプラスミド法の特徴だ。
 新型コロナDNAワクチン開発・製造に対する政府の助成金交付の交渉も、既にスタートしている。

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