ふたりの実習生

 薬学生の実務実習の受け入れを始めて10年目となりました。今年からは新コアカリキュラムとなりました。指導側も気持ちを新たに、試行錯誤を繰り返しながらよりよいものを目指しております。
これまで私どもの薬局では実習生を1人ずつ受け入れておりましたが、今期初めて2人の受け入れをさせていただきました。受け入れる学生さんが1人の時は、自然に近づいて、だんだんと友だちになるように親しくなり、一対一で向き合います。
 そのうち個性を伸ばせるように、あるいは不得意なところを補うように、これから伸びるであろうポテンシャルを感じつつ二人三脚のように実習を進めてきました。
 せっかくうちにきていただいたのだから、うちの薬局ならではの体験をしていただこうということで、患者さんとの関わりを大事にすることを一番の目標にしています。勉強と実習を結びつけて薬剤師の醍醐味を少しでも味わっていただくことを理想としています。
 さて、2人の場合はどうなるのかと言うと、実習の目標や理想は1人の時と同様です。薬局で行う実習内容を改めて全て確認し、いかに分けて組み合わせるかをスタッフで話し合いました。
 そのパーツをパズルのようにはめ込んで、予定表を完成させました。ところがどうでしょう。実際ふたりを受け入れることを始めると、そのような心配はいらなかったかのように、明るく楽しい実習がスタートしました。
 苦手や心配なことは協力し、お互い助けあって、高め合って、良いところを見習い、刺激し合っています。確かに調剤や服薬指導の回数、在庫管理の回数が半分に減ってしまうというところはあります。ひとりの時に培われる責任感は半減しているかもしれません。
 一方、勉強会での質問は2倍になりますし、失敗や解決策も共有していて、全体的な活動量が増えていいのではないかと私個人的には感じております。指導側としても良い体験をさせていただきました。
医学的なガイドライン、新薬の発売、社会情勢などの変わる中、薬剤師の仕事も日々変化致します。学生さんの受け入れをしてきたこの10年にも、多くの変化がありました。それでもいつまでも、新しいことにも目を向け、変化を受け入れて、刺激を受けながら指導薬剤師としても成長していきたいと思います。少なくとも学生さんの迷惑にならないように、二人三脚や百足競争は一緒にしたいなと思います。

   薬剤師 宮奥善恵

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