武田薬品は28日、厚労省の「異物混入があった製品と同じ時期に同じ製造ラインで製造されたため使用見合わせ対象となっているモデルナ製の新型コロナワクチン接種後に男性2名が死亡した」との発表を受け、今後、因果関係の有無に関する正式な調査を実施していく考えを明らかにした。
死亡したのは38歳と30歳の男性で、使用したワクチンには異物混入が確認されておらず、現時点では、これらの死亡事例とモデルナ社製ワクチン接種との因果関係は確認されていない。
国内の供給を担う武田薬品と、ワクチンの製造元であるモデルナ社は、厚労省と協力しながら、両死亡事例について調査を行っていく。調査は、緊急性および透明性をもって誠実に実施し、両社は、新たな情報が得られた際には適宜開示する。
武田薬品は、特定のロットについて未使用のバイアル内に異物があるという複数の接種会場からの報告を受け、厚生労働省と連携し、異物混入の報告のあった当該ロットのほか、厚生労働省の判断に従い、同じ時期に同じ製造ラインで製造された2ロットを疑いのあるロットとして、計3ロットの使用見合わせを今月26日に決定した。
武田薬品は直ちにモデルナ社およびモデルナ社が契約する欧州の製造会社に異物の緊急調査を依頼した。武田薬品は、「バイアルの中の粒子状異物の種類や性質を示す非公式の報告を認識している。だが、これらの報告は確定情報ではなく、粒子の正確な性質を決定する前に、正式な調査結果を得て確認することが重要」との考えを占めている。 現在、モデルナ社による調査が継続中であり、結果がわかり次第、両社は速やかな情報の開示に努める。モデルナ社は、分析のため適切な検査機関に検体を送付しており、検査結果の速報は来週前半に判明する予定だ。
なお、8月27日時点で、今回の不幸な死亡事例に関連するロットの製品については、粒子状異物に関連した品質情報は報告されていない。
モデルナ社の新型コロナワクチンは、現在までに45カ国で2億回以上、1億1000万人以上に接種されており、コロナ禍収束に向けた世界的な闘いにおいて、重要な一要素となっている。