WELIREG PD-1阻害剤等治療後の進行腎細胞がん治療薬として米国FDAが承認 MSD

 MSDは19日、 経口低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害剤「WELIREG」について、 PD-1またはPD-L1阻害剤とVEGF-TKIによる治療後に進行した腎細胞がん(RCC)の治療薬としてFDAから承認取得したと発表した。
 対象は、PD-1(プログラム細胞死受容体1)またはPD-L1(プログラム細胞死リガンド1)阻害剤と血管内皮細胞増殖因子チロシンキナーゼ阻害剤(VEGF-TKI)による治療後に進行した成人の腎細胞がん(RCC)。
 同承認は、PD-1またはPD-L1阻害剤とVEGF-TKIによる治療後に進行したRCC患者に特化した唯一の試験であるLITESPARK-005試験で得られた統計学的に有意で臨床的に意味のある結果に基づくもの。
 同試験で、PD-1またはPD-L1阻害剤とVEGF-TKIを逐次、または同時に用いた治療後に進行したRCCに対し、WELIREGはエベロリムスと比較して無増悪生存期間(PFS)の優越性(HR=0.75 [95% CI, 0.63-0.90]; p=0.0008)が認められた。客観的奏効率(ORR)もエベロリムスの4%(n=13)(95% CI, 2-6)に対し、WELIREGは22%(n=82)(95% CI, 18-27)であった。
 なお、WELIREGの米国の添付文書には、妊婦への投与が胚・胎児に害を及ぼす可能性があることを示す枠組み警告が掲載されている。WELIREGの投与開始前に妊娠の有無の確認を要する。患者に対しては、こうしたリスクがあり、有効な非ホルモン性避妊法が必要であることを周知しておく必要がある。
 同剤の投与により、ホルモン性避妊薬の効果が失われる可能性がある。同剤は輸血を必要とする重度の貧血を引き起こす可能性がある。同剤投与開始前及び投与期間中は定期的に貧血の有無も観察を要する。
 また、同剤は重度の低酸素症を引き起こす可能性があり、投与中止、酸素吸入、入院が必要となる場合がある。同剤投与開始前及び投与期間中は定期的に酸素飽和度を観察する必要がある。

◆LITESPARK-005試験研究責任者のトニー・K・ショエリ氏(ダナ・ファーバーがん研究所Lank Center for Genitourinary Oncologyディレクター、ハーバード大学医学部Jerome and Nancy Kohlberg教授)のコメント
 近年、進行RCCの治療は進歩しているが、PD-1またはPD-L1阻害剤とVEGF-TKIによる治療後に進行した患者さんを特に対象として承認された選択肢はなかった。
 belzutifanの今回の承認は、エベロリムスと比較して疾患進行または死亡のリスクを低減することにより、特定の患者さんに対して意義のある新たな治療の選択肢が提供されることになる。

◆マージョリー・グリーンMSD研究開発本部グローバル臨床開発部門進行がん担当責任者・シニアバイスプレジデントの(博士)のコメント
 WELIREGは2021年に初めてVHL病に関連する腫瘍を有する特定の成人患者さんに対するHIF-2α阻害剤として米国で承認され、今回新たに特定の進行RCCでも承認を取得した。
 今回のWELIREGの承認は、この10年近くで初めて、特定の進行RCCの患者さんに対する新たな薬効分類として認められた。また、この承認はPD-1またはPD-L1阻害剤とVEGF-TKIによる治療後に進行した患者さんにおいて、エベロリムスと比較して統計学的に有意なPFSの延長が認められた結果に基づいている。

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