核酸医薬品AMG0103 慢性椎間板性腰痛症後期P1試験で好結果  アンジェス

 アンジェスは17日、椎間板性腰痛症治療の核酸医薬品NF-kB デコイオリゴDNA(開発コード AMG0103)について、後期P1試験で良好な結果を確認し、今後、12 ヵ月後までの結果も踏まえて、P2相試験へ移行すると発表した。
 後期P1試験は、椎間板性腰痛症の患者(男女25名、32~70 歳、平均年齢53.5歳)を対象にAMG0103 を椎間板内に 1回投与した二重盲検無作為化比較試験。同試験における6カ月間の観察期間で、患者の忍容性は高く、重篤な有害事象も認められず、AMG0103の安全性が確認できた。
 さらに、探索的にデータを評価したところ、患者に腰痛の著しい軽減とその効果の持続が認められ、有効性も確認できた。
 AMG0103は、NF-κB 転写因子に結合して炎症性サイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の放出を抑制する合成 NF-κB オリゴヌクレオチドデコイで、過剰な炎症反応や免疫反応に起因する様々な疾患の治療に有効な薬剤として期待されている。
 この試験の治験責任医師であるSteven Garfinカリフォルニア大学サンディエゴ校医学部長で整形外科教授は、「後期第 1 相試験で示された安全性と有効性のデータから、椎間板起因の腰痛に苦しむ患者に対してAMG0103は画期的な治療を提供する可能性を秘めていると考える」と強調。
 さらに、「我々のチームは、この臨床試験での大幅な痛みの軽減効果とその持続期間を素晴らしい結果と受け止めており、その後の試験でのさらなる評価を期待している。成功すれば、AMG0103は、この慢性椎間板性腰痛症に使用される、最初の核酸医薬品になる可能性がある」とコメントしている。
 一方、山田英アンジェス代表取締役社長は、「この試験結果は、AMG0103を椎間板内に1回投与することで、腰痛を安全かつ持続的に改善できることを示しており、患者のQOL向上に寄与するものと考える」と明言。
 その上で、「今後、我々は、米国FDAおよび世界中の規制当局から販売承認を取得するために、今回の結果を検証する臨床試験を継続していく予定である」と述べている。
 世界中できわめて多くの人が椎間板性腰痛症を患っており、これらの患者は、日常生活に支障をきたすとともに、生産性の低下に伴う、大きな経済的負担を強いられている。腰痛は、うつ病、糖尿病、血管疾患、呼吸器疾患などの主要疾患を超えて、日常生活に支障をきたす原因の第一位となっている。患者数および社会的影響から、慢性椎間板性腰痛症治療薬であるAMG0103は、大きな市場を形成する可能性がある。
 現在、米国FDAが慢性椎間板性腰痛症に対する薬物療法として承認しているのは、消炎鎮痛剤による対症療法のみである。AMG0103は、推定される原因物質を阻害することで効果を発揮する点で、既存の鎮痛剤とは異なる。基礎科学的研究の結果、AMG0103の局所注射は、既存の治療薬では改善できない椎間板変性症などの病気の進行を抑える効果があることが示唆されている。
 なお、同件が今年度の通期連結業績に与える影響は現在精査中である。
 今回の後期P1試験における安全性・有効性に関する詳細は、次の通り。

◆安全性
 成人の椎間板性腰痛症を対象とした後期P1試験の主要評価項目は、投与後12 ヵ月間のAMG0103の忍容性と安全性の評価である。本試験では、椎間板性腰痛症の外来患者にAMG0103(0.3mg、3.0mg、あるいは 10.0mg)またはプラセボを無作為に椎間板に直接投与し、安全性を検討する。
 6ヵ月までのデータ(パート1)では、腎機能、肝機能、または血液機能に臨床的に問題となる異常は認められなかった。治験薬投与後比較的早期に、一過性の有害事象が一部の患者に認められたが、重篤あるいは試験からの脱落を強いられる有害事象は認められなかった。
 今回、同試験における6ヵ月データ(パート 1)の分析が報告された。この後、12ヵ月の有効性に関する追加の試験結果を追って報告される。

◆有効性
 同試験の有効性の評価には、腰痛、下肢痛の測定、腰痛に基づく日常生活障害、心理的な負担、QOL についてPatient Global Impression of Change (PGI-C)、Roland-Morris Disability Questionnaire (RMDQ)、Oswestry Disability Index を用いて評価した。
 AMG0103 は、投与開始後6 ヵ月までの腰痛の強さ(100mmのVASで計測)を軽減し、用量依存的な改善を示した(パート 1)。AMG0103のすべての用量でプラセボに比べて腰痛を改善し、高用量のAMG0103 10mg投与では、投与14日後に腰痛の強さを約50%軽減し、6ヵ月後には71%まで軽減した。
 プラセボでは6ヵ月の腰痛の強さを15%軽減するに留まり、AMG0103 10mgはプラセボに比べ腰痛を有意に緩和した(p=0.033)。12 ヵ月間のデータが入手可能になり次第、分析を完了し、その結果を報告する予定である。
 腰痛に基づく日常生活障害、心理的な負担、QOL の改善について患者自身が評価したPGI-C スコア(1 から 7 までの順序スケールで測定)は、投与6ヵ月後用量依存的な改善を示し、AMG0103のすべての用量でプラセボよりも数値的に優れていた。
 AMG0103 10mgでは、プラセボに比べても3ポイント近く改善し、統計学的にも有意であった(p=0.001)。PGI-Cは、患者がベースラインからの改善をどのように評価しているかを数値化したもので7点満点の尺度で3ポイントの差があることは、臨床としての意義がある。
 この結果に加えて、患者の日常生活障害を評価指標であるRDMQスコアでは、プラセボが15%以上の悪化するのに対して、AMG0103はいずれの用量でも20~50%改善した。

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