製薬企業発の「日本における希少疾患の課題」白書刊行   武田薬品

 武田薬品は16日、希少疾患の患者の課題を分析し、解決の糸口を考察した白書「日本における希少疾患の課題~希少疾患患者を支えるエコシステムの共創に向けて~」を刊行したと発表した。同白書は、武田薬品ホームページにで公開している。
 同書では、国内外の専門家の意見や文献調査をベースに、武田薬品が知見を有するデータを交え、発症してから医療機関で正しい診断を受け、治療を進めていく中で患者が直面するさまざまな課題に関する要因分析、改善に向けての提言が含まれている。
 希少疾患の患者を取り巻く課題として、正確な診断を得るのに長期間を要することが挙げられる。例えば、遺伝性血管性浮腫(HAE)の場合、確定診断までの平均期間が日本は約13.8年であるのに対し、米国は約10年、欧州は約8.5年となっており、日本では欧米に比べ長期間を要する状況にある。同書ではこのような状況に至る要因を掘り下げ、対策を考察している。
 濱村美砂子武田薬品ジャパンファーマビジネスユニット レアディジーズビジネスユニット ヘッドは、「希少疾患の患者を取り巻く課題は多様であり、治療のみではなく多岐にわたる。そのような実情を一人でも多くの人に理解いただくために本書を作成した」と説明する。さらに「患者の置かれた環境改善には、医療従事者や行政、患者会、企業など多様なステークホルダーが持続的に連携し合うエコシステムの構築が不可欠である」と断言。その上で、「当社は、治療薬の創出にとどまらず、一日も早く患者が診断され適切な治療と支援を受けられる環境づくりに貢献できるよう幅広いステークホルダーと協働していく」と述べている。
 また、同書編纂のための調査に協力した日本難病・疾病団体協議会(JPA)代表理事の森幸子氏は「希少疾患患者の多岐にわたる問題を分析し、解決に向けての提言を示されたこの白書は患者にとって希望の光となる」と明言。「これらの課題は、希少疾患に限らず、誰もが医療を必要としたときに抱える困難であり人ごとではない。今必要なのは、安心して最適な医療を受けることができ、どこにいても必要な支援体制のある暮らしができる社会である。当事者視点からの発信は大変貴重で重要なものである」とコメントしている。
 武田薬品は、同書をきっかけに、ステークホルダーの皆様と課題解決に向けた議論や協働が広まるよう働きかけを行っていく。
「日本における希少疾患の課題 ~希少疾患患者を支えるエコシステムの共創に向けて」の概要は、次の通り。

・日本における希少疾患の患者を悩ませる課題とその根本的原因を患者団体、臨床開発、医師間連携などの観点から分析した製薬企業発の希少疾患白書
・国内外の専門家の証言や各種データをもとに、希少疾患患者さんにとって課題となる迅速な確定診断、専門的な医療などに関する海外の先進事例を紹介
・患者を中心に、医療従事者や政府、患者団体や企業が連携して課題解決に取り組むための提言(患者団体の強化支援、疾患啓発推進のための環境整備など)を掲載
 電子版URL は、https://www.takeda.co.jp/patients/rd-support/wp/

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