小野薬品は5日、オプジーボとヤーボイの併用療法が、切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)の成人患者 のファーストライン治療薬として、FDA承認を取得したと発表した。ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が2日に公表したもの。今回の承認より、オプジーボ・ヤーボイ併用療法は、MPMの適応症で15年ぶりに FDAの承認を受けた新たな全身療法および、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫に対する最初で唯一の免疫療法薬となる。
同併用療法におけるオプジーボとヤーボイの用法・用量は、オプジーボ=360mgを3週間間隔で点滴静注、ヤーボイ=1mg/kgを6週間間隔で点滴静注である。
今回の承認は、P3相CheckMate-743試験であらかじめ計画されていた中間解析の結果に基づくもの。中間解析において、オプジーボとヤーボイの併用療法(303例)は、プラチナ製剤を含む標準治療の化学療法(302例)と比較して、良好な全生存期間(OS)の延長を示し[ハザード 比 (HR)0.74; 95% 信頼区間(CI):0.61 – 0.89;P=0.002]、OS の中央値(mOS)は、オプジ ーボとヤーボイの併用療法群で18.1カ月(95% CI:16.8 – 21.5)、化学療法群で14.1カ月(95% CI:12.5 – 16.2)であった。これらの結果は、最短で22.1カ月の追跡調査によるものである。2年時点での生存率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で41%、化学療法群では27%であった。
悪性胸膜中皮腫は、治療選択肢の限られた希少がん腫で、進行ステージで診断された場合、5年生存率は約10%である。米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター胸部腫瘍内科教授兼セクションチーフおよび 中皮腫プログラム部長で治験担当医師のAnne S. Taso(M.D.)氏は、「CheckMate -743試験の生存に関する結果は、本併用療法群が新しい最前線の標準治療の選択肢になる可能性を示している」と説明。
その上で、「これはエキサイティングなニュースで、この深刻な疾患を抱える患者および患者をケアする医療従事者に希望をもたらすものである」とコメントしている。
MPMは、胸部がんのファーストライン治療において、オプジーボとヤーボイの併用療法の3つ目の適応症となる。オプジーボとヤーボイの併用療法は、FDA により、FDAが承認した検査により測定された腫瘍のPD-L1発現レベルが1%以上で、EGFRやALK 遺伝子変異陰性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者のファーストライン治療薬として承認されている。
また、オプジーボとヤーボイの併用療法は、PD-L1 発現レベルにかかわらず、EGFRやALK 遺伝子変異陰性の進行または再発性 NSCLC成人患者のファーストライン治療薬として化学療法を限定して追加した併用療法でも承認されている。