薬剤耐性脅威に対処するイノベーション継続提言がNatureに掲載 塩野義製薬

 塩野義製薬は26日、増大するAntimicrobial resistance(AMR、薬剤耐性)の脅威に対処するためのイノベーションの継続と政策変更の導入の必要性を強調する提言がNature Outlook誌に掲載されたと発表した。
 AMRは、細菌、ウイルス、真菌および寄生虫によって引き起こされる感染症に対して効果的な予防・治療を行う上で深刻な脅威となっている。AMRは、世界規模の重要課題であり、毎年70万人が死亡していると推定されている。
 このまま問題が解決されなければ、2050年には死亡者数は年間1000万人に達すると予測されている。特に、抗菌薬に対する細菌の耐性獲得は最も重要であり、一般的な化学療法だけでなく、日常的な医療処置から臓器移植といった多岐にわたる医療を支える抗菌薬の効果が失われることで、これまで人類が築き上げてきた医療技術の使用が不可能になる未来に直面する可能性が危惧されている。従って、AMRは政府や国、あるいは世界レベルでの緊急の課題と考えなければならない。
 塩野義製薬では、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、抗菌薬の研究、開発、製造、販売と幅広くAMRに対する取り組みを進めている。これまでの同社のAMRに対する取り組みは次の通り。
l AMR対策に関するダボス共同宣言に署名(2016年1月)

l AMR対策の進展へ向けた産業ロードマップの策定(2016年9月)

l AMRポジションペーパー公開(2019年4月)

l 新規注射用シデロフォアセファロスポリン抗菌薬セフィデロコルを発売(2020年2月)

l AMR Action Fundへの参画(2020年7月)

 今回の提言は、抗菌薬の継続的なパイプラインを支える収益体制、抗菌薬の価値を決定する評価プロセスの刷新、実効性のある健全な市場形成のための保険償還制度の導入といった、開発から商業化までをトータルで奨励する仕組みの確立を支援。
 加えて、この取り組みを通じて、当社が社会に貢献することに使命感を持ち、個々の患者さんだけでなく社会全体が継続的に抗菌薬の恩恵を受けられるよう邁進していくという意思を表明したものである。
 同社は、引き続き、感染症薬開発のリーディングカンパニーとして、AMRに対する取り組みを強化、推進していく。

タイトルとURLをコピーしました