企業・健保による予防医療の社会実装推進目指して

日本イーライリリーは14日、エムスリー総合研究所およびミナケアと企業・健康保険組合における予防医療の社会実装推進を目的とした「健康経営実装コアリション~予防医療、肥満症対策から~」を発足したと発表した。
同コアリションは、肥満症対策を最初のテーマに位置づけ、参画する企業や健康保険組合と連携しながら、「肥満症に関する社会的理解の促進」、「参画企業・健保における肥満症を有する従業員の適切な把握および医療機関への受診勧奨の実施」、「これらの活動を通じて得られる実社会データの収集・分析」を推進する。
国民医療費が48兆915億円(2023年度・過去最高)に達するなか、医療政策においては、治療中心の医療から、疾病の発症・重症化を防ぐ予防医療中心への転換が重要な課題となっている。
一方で、各企業において健康経営の取り組みが広がる中でも、健康維持のために具体的な対応が必要な対象者の把握、適切な受診勧奨、介入後の効果検証までを継続的に実施できる仕組みは十分とは言えない。予防医療を社会に実装するためには、こうした一連の取り組みを支える基盤が必要となる。
今回発足する同コアリションでは、予防医療の第一歩として肥満症対策を位置づけている。肥満は、高血圧・脂質異常症・2 型糖尿病、さらに心筋梗塞や脳卒中といった様々な疾患を引き起こしたり、悪化させたりするリスクを高めることが知られており、こうした「メタボリックドミノ」進行の発端となる肥満の予防と早期改善が重要と考えられている。また、疾患リスクが高まることで、結果として医療費の上昇につながる可能性が指摘されている。
こうした中、同コアリションは、「社会発信」「社会実装」「データ基盤の整備」の3つの取り組みを通じて、予防医療の社会実装を推進する。主な取り組みは、次の通り。
◆社会発信:肥満症や予防医療に関するエビデンスや実践知を広く社会へ発信するとともに、企業・健康保険組合・医療関係者など多様なステークホルダーとの対話を通じて、肥満症への正しい理解の促進と予防医療の社会実装に向けた機運醸成を目指す。
◆社会実装:参画する健康保険組合と協働し、肥満症に該当する対象者約1万名への受診勧奨を実施する。対象者の把握から受診勧奨、介入後の効果検証までを一貫して実施し、その成果を継続的に検証・改善することで、企業・健康保険組合における実効性の高い予防医療モデルの構築を目指す。
◆データ基盤の整備:受診勧奨を通じて得られる介入データ等を活用し、肥満症対策による健康アウトカムや経済的インパクトを分析・可視化する。併せて、参画する健康保険組合に対し、業種・業界横断のベンチマークを提供するとともに、得られた知見を今後の予防医療の取り組みに活用していく。
なお、同コアリションには、ロッテ健康保険組合、内田洋行健康保険組合、九州電力健康保険組合をはじめ、肥満症対策の必要性に賛同する企業・健康保険組合が参画する。今後も参画団体を順次拡大するとともに、各企業・健康保険組合で得られた知見や成果を広く社会に発信し、予防医療の実践モデルとして全国への展開を目指す。
