Rhythm社は9日、メラノコルチン4受容体(MC4R)アゴニスト「イムシブリー」(一般名:setmelanotide)について、後天性視床下部性肥満を対象としたP3相TRANSCEND試験において主要評価項目を達成したと発表した。
成人および4歳以上の小児患者において、同剤による治療により体重、空腹感に著しい改善が認められたもの。同試験結果は、The New England Journal of Medicine(NEJM)誌に掲載された。
なお、イムシブリーは、米国FDAが本年3月19日、成人および4歳以上の小児における後天性視床下部性肥満に対する初めてかつ唯一の治療薬として承認した。 また、5月1日には、欧州委員会においても同適応の追加承認を取得した。日本では、現在、医薬品医療機器総合機構(PMDA)により承認審査中である。
TRANSCEND試験は、後天性視床下部性肥満を対象としてこれまでに実施された中で最大規模かつ最長のプラセボ対照臨床試験である。
この52週間の無作為化二重盲検プラセボ対照P3試験において、治療レジメンを52週間継続した最初の120人の患者が、主要解析コホートとして評価された。setmelanotide群の患者では、次の結果が得られた。
- 体格指数(BMI)の減少率において、プラセボ群に比べて19.8%の差(n=120)
- setmelanotide群の全患者(n=81)におけるベースラインからの平均BMI減少率は-16.5%であったのに対し、プラセボ群(n=39)では52週時点で+3.3%のBMI変化を示し、主要評価項目を達成した(p<0.0001)。
- setmelanotide群の80%の患者が、52週時点でBMIを5%以上減少させた。
- 空腹感において、臨床的に有意な改善が認められた。setmelanotideは概ね良好な忍容性を示した。新たな安全性に関わるシグナルは認められず、治療中止に至った有害事象は setmelanotide群とプラセボ群で同等であった。
◆田中智洋氏(名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学)のコメント
後天性視床下部性肥満は、急速で持続する体重増加と食欲亢進をきたすことで、健康が損なわれるだけでなく、本人や家族の生活にも大きな負担をもたらす治療困難な疾患である。
これまで確立した治療法もなく、新しい治療法が待ち望まれてきた。今回、この疾患で障害されるMC4R経路に着目したsetmelanotideの有効性と安全性が論文で報告され、治療薬の登場が大いに期待される。
◆David Meeker Rhythm社会長兼最高経営責任者(CEO)兼社長のコメント
The New England Journal of Medicine(NEJM)誌におけるTRANSCEND試験データの発表は、臨床的エビデンスの強さと、後天性視床下部性肥満に悩む患者さんに対するsetmelanotideの有益な影響を裏付けるものである。
FDAおよびEUでの承認がすでに得られており、日本でも規制当局への申請が審査中であることから、当社は、標的治療を緊急に必要としている世界中の患者さんに、このファースト・イン・クラスの治療法を提供することを目指している。

