2025年版ストレスチェック分析結果を公開 ドクタートラスト

高ストレス社員、つらかったのは「仕事量」より「やりがい不足」

 ドクタートラストのストレスチェック研究所では、ストレスチェックサービスを利用した累計受検者323万人超(9,467の企業・団体)のデータを活用し、さまざまな分析を行っている。
 今回は2025年にストレスチェックサービスを利用した受検者のうち、およそ60万人(およそ2000の企業・団体)の有効回答結果を分析し、経年での変化などを調査した。
(注)2024年度までは年度単位(4月〜翌年3月)、2025年は年単位(1月〜12月)での集計となっており、集計期間が異なる。

【動画:https://www.youtube.com/watch?v=IfZA_D5NjK4
 ストレスチェック制度は、2015年以降、従業員数50名以上の事業場において、年1回の実施が法律で義務づけられている。
 ドクタートラストでは制度開始から企業・団体など各組織に応じたストレスチェックを提供してきた。現在では通常の57項目版とあわせて、より詳細な分析が可能な80項目版や独自の設問も用意している。
 職場や部署ごとのストレス傾向をまとめて分析する「集団分析」の結果フィードバックや受検後相談窓口などのアフターフォローも提供しており、国内トップクラスの受検者数を誇っている。今回の調査結果ポイントは、次の通り。

【ストレスチェックの受検率】87~88%で安定

【高ストレス者率】13%台で横ばい

【年代別】20・30代は改善傾向、40代は高止まり、50・60代は悪化傾向

【高ストレス者の特徴】「仕事がきつい」だけでなく、「仕事で活力を感じない」割合が高ストレス者以外と比べて38.8ポイントも高い
 調査結果について、要点をまとめた「要点解説編」と詳しく説明した「詳細解説編」は、次の通り。

【要点解説編】

1、 受検率は高水準維持、高ストレス者率は横ばい

 2019年から2025年までの推移を見ると、ストレスチェック受検率は87~88%で安定して推移した。一方、高ストレス者率は13%台で大きな変化は見られなかった。

2、 若手改善、ミドル停滞、シニア悪化

 年代別の高ストレス者率は、20・30代は2022年以降改善傾向が見られた。一方で40代は高止まり、50・60代は上昇傾向となった。
 背景には、若年層へのハラスメント対策の浸透や、中高年層における役割変化・定年延長・身体負担の増加などがあると考えられる。

3、 高ストレス者の本質は「仕事量」より「やりがい不足」

 2025年のストレスチェックで「高ストレス者」と判定された人の回答を分析した結果、状態が悪いと判定される回答が多かった設問を調べたところ、高ストレス者では、業務負荷項目よりも「仕事でエネルギーをもらうことで生活が充実している」「仕事をしていると活力がみなぎる」といった、「やりがいに関する項目」で30ポイント超の差が見られた。
 単なる業務量調整だけではなく、エンゲイジメント向上施策の重要性が示唆される。

【詳細解説編】

1、受検率・高ストレス者率~受検率は87~88%で安定~

図1
 図1は、2019年から2025年の受検率と高ストレス者率である。受検率(受検対象者のうち実際に受検した人の割合)は87~88%で安定している。高ストレス者率(ストレスが強いと判定された人の割合)は13%台で横ばいである。
 なお、高ストレス者とは「強い自覚症状がある」または「自覚症状がある程度あり、かつ仕事の負担と周囲のサポートの状況が著しく悪い」と判定された人を指す。

2、年代別の高ストレス者率~20・30代は改善、40代は停滞、50・60代は悪化~

図2
 図2は、2019年から2025年における、年代別の高ストレス者率の推移を示している。
 20・30代は2022年をピークに減少し、改善傾向がうかがえる。一方、40代は15%台で横ばいが続き、高止まりの状態にある。
 また、50・60代は2020年以降、緩やかな上昇傾向が見られ、特に60代は低水準ながらも2025年には8.3%まで増加している。
 50・60代の上昇については、定年延長や高年齢者雇用安定法の改正(70歳まで就業機会を確保することを企業に求めた法律)により現役期間が長くなり、役割の変化や身体的負担の増加が影響していると考えられる。
 一方、20・30代の改善は、2022年4月にパワハラ防止法がすべての企業に適用されたことでハラスメント対策が整備され、対人関係のストレスが軽減された可能性がある。

3、不良回答ランキング~上位は業務負荷・集中要求に関する項目に集中~

 図3
 図3は、各設問に対して状態が悪いと判定される回答(以下「不良回答」)をした人が多い順にランキングを示している。
 不良回答率の1位~5位は前年から順位に変化はなく、業務量の多さや高い集中力を求められる状況に関する設問が集中していた。また、「活気がわかない」65.4%からは、仕事に対する意欲や活力の低下が課題になっていることがうかがえる。
 一方、身体的不調(「動悸や息切れ」「食欲がない」など)や「職場でのいじめ」は不良回答が少ない結果であった。これらは症状が実際に表れた段階で初めて自覚されやすい性質があるため、現時点で割合が低いことをもって安心できるとは限らない。
 ハラスメントについても申告しにくさや認識の個人差から実態が数値に表れにくい面がある。数値が低いからといって安心せず、相談窓口の整備や研修など継続的な対策が重要である。

4、高ストレス者の不良回答ランキング~高ストレス者は“活力・充実感”に課題~
 次に、2025年のストレスチェックで「高ストレス者」と判定された人の回答を分析した結果、不良回答が多かった設問は以下の5項目であった。

図4
 仕事の負荷に関する設問(①②⑤)では高ストレス者と高ストレス者以外で8〜11ポイントの差であったが、活力・充実感に関する設問(③④)では30ポイント以上の大きな差があった。
 高ストレス者は「仕事がきつい」だけでなく、「仕事にやりがいを感じられていない」状態にあることがこの結果から読み取れる。

◆アナリストコメント
 受検率は高水準を維持する一方、年代別では傾向が異なる。20・30代は改善傾向にある一方、40代は高止まり、50・60代は悪化傾向である。
 不良回答の上位は業務量・集中要求に関する項目が占めており、高ストレス者ほど仕事への活力や充実感を感じにくい傾向が顕著である。
 身体的不調やハラスメントに関する数値は現時点で低水準だが、今後の動向には引き続き注意が必要である。
 仕事量の見直しや年代に応じた支援、働きがいの向上に向けた取り組みが、メンタルヘルス不調の予防につながるだろう。
文責:押切愛里氏(ストレスチェック研究所 アナリスト)

◆高橋雅彦ドクタートラスト代表取締役のコメント
 ストレス対策は、業務負荷を下げるだけでなく、働く人が活力ややりがいを感じられる職場づくりまで踏み込む時代に入っている。当社は今後もビッグデータ分析を通じて、企業の人的資本経営を支援していきたい。

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