治療困難な肺がんを対象とした3件のP3試験開始 ベーリンガーインゲルハイム

 ベーリンガーインゲルハイムは29日、obrixtamigについて、小細胞肺がん(SCLC)を対象とする DAREON-Lung-1試験、肺外神経内分泌がん(epNEC)を対象とする DAREON-NEC-1試験の2件のP3試験を開始したと発表した。
 また、ゾンゲルチニブについて、HER2 遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とするのP3試験(Beamion LUNG-3試験)を開始したことを明らかにした。
 最も進行の速い肺がんであるSCLCでは、治療効果持続期間が短く、既存のアプローチでは生存率が低くなることも少なくない。また、肺外神経内分泌がん(epNEC)は研究が進んでいないがんであり、生存アウトカムは数十年にわたり改善していない。
 これらのがん患者は、治療の選択肢が限られており、依然として大きなアンメットニーズが存在する。そのため、同社が開発中の DLL3/CD3 を標的とする T細胞エンゲージャーである obrixtamig にとって、また、SCLCやepNECなどの進行の速い神経内分泌がん(NEC)におけるバイオマーカー戦略にとって、2 つのP3相DAREON試験の開始は重要な一歩である。
 DLL3(デルタ様リガンド 3)は、SCLC と epNEC の腫瘍細胞に発現する一方で、非がん細胞にはほとんど存在しないため、これらの進行の速いがんにおける治療戦略の再定義につながる有望な予測バイオマーカーであると考えられている。
 DAREON-Lung-1試験およびDAREON-NEC-1試験では、バイオマーカーの情報に基づいた患者群において、DLL3 を標的とするT細胞エンゲージャーであるobrixtamigを現在の標準治療(カルボプラチン+エトポシド)に追加投与することにより、標準治療と比較して、治療成績を改善できるかを検証する。
 これらの試験は、進行の速いNECの治療において、obrixtamig をより個別化された革新的な治療アプローチの一環として位置付けることを目指している。
 また、HER2(ERBB2)を選択的に阻害する不可逆性のチロシンキナーゼ阻害剤「ゾンゲルチニブ」については、Beamion Lung-3試験により早期ステージにおけるの有効性を検証している。このグローバル無作為化P3試験は、完全な外科的切除を受け、術前補助療法または術後補助療法のいずれかを受けたステージII~IIIBのHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性NSCLC患者を対象に、ゾンゲルチニブの補助単剤療法の有効性および安全性を、医師が選択した標準治療と比較するもの。
 同試験は、根治を目的とした切除手術後における再発リスクに対して、ゾンゲルチニブが標準治療と比較して無病生存期間(DFS)を改善できるかを評価するようデザインされている。 Beamion LUNG-3試験は、有効な標的治療による術後補助療法の選択肢が依然として限られている領域において、標的治療をより早期の治療段階に使用可能にしたいという同社の姿勢を反映しており、この臨床試験ではゾンゲルチニブの検討対象を早期ステージの疾患へ拡大している。

◆Lykke Hinsch Gylvinベーリンガーインゲルハイムチーフメディカルオフィサーのコメント
 進行の速いがんの患者さんは、治療の選択肢が限られてしまうという状況に直面することが少なくない。今回の試験開始により、バイオマーカーに基づく治療薬を後期開発段階に進めるとともに、標的治療を疾患のより早期ステージで使用可能にすることで、我々のがん領域の個別化医療における取り組みをさらに前進させている。各がん種の生物学的特性に注目し、より精緻な治療選択肢を実現することで、最もニーズの高い疾患領域における治療成績の向上を目指している。

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