塩野義製薬は18日、英国F2G社と共同開中の新規抗真菌薬「オロロフィム」について、侵襲性アスペルギルス症患者を対象とするグローバルP3試験(OASIS試験)において主要評価項目を達成したと発表した。
同社は、F2G社との契約に基づきオロロフィムの共同開発を進めるとともに、欧州およびアジアでの開発および独占的販売権を有している。同試験結果を踏まえ、塩野義製薬は欧州およびアジアでの承認申請を予定しており、F2G社は米国FDAへの新薬承認申請を計画している。
オロロフィムは、真菌の生育に必須であるピリミジン合成経路を阻害することで抗真菌活性を示す、新規作用機序を有する経口の抗真菌薬である。今回の良好な結果を取得したOASIS試験は、アゾール系抗真菌薬に抵抗性を示す、またはその使用が困難な侵襲性アスペルギルス症患者を対象に、AmBisome治療群(AmBisomeを少なくとも10日間投与後標準治療を実施した群)に対するオロロフィムの非劣性を検証することを目的に実施された。
主要評価項目である「治療開始後42日時点での全死因死亡率」において、オロロフィムは、AmBisome治療群に対する非劣性を示した(オロロフィム投与群23.8%、AmBisome治療群24.3%、群間差は-0.5%[95%信頼区間:-13.1%~10.8%])。
また、安全性上の新たな懸念は認められず、治験担当医が薬剤と関連があると判断した有害事象の発現率は、オロロフィム投与群で35.8%、AmBisome治療群で63.9%であった。対照薬の副作用として知られる腎機能関連の有害事象についても、オロロフィム投与群は低い傾向を示した。
侵襲性アスペルギルス症は、主に免疫不全状態の患者さまに発症する重篤な真菌感染症であり、高い死亡リスクを伴う。現在、治療の第一選択としてアゾール系抗真菌薬が用いられているが、これらの治療が困難な患者においては、有効な治療選択肢が限られている。
また、アゾール系抗真菌薬の代替治療として用いられる既存薬でも、安全性や忍容性、腎機能への影響が治療の選択や継続上の課題となっており、高いアンメットメディカルニーズが存在している感染症だ。OASIS試験の結果は、オロロフィムが侵襲性アスペルギルス症に対する新たな治療選択肢となる可能性を示唆するものである。
なお、同試験結果の詳細については、今後、国際学会等での発表を予定している。また、同件が塩野義製薬の2027年3月期の連結業績に与える影響は軽微である。
◆OASIS試験治験責任医師のJohan Maertensベルギー・ルーベン大学病院 血液学教授(博士)のコメント
侵襲性真菌感染症は依然として治療が困難であり、特に免疫不全患者においては生命を脅かす疾患である。本試験の結果は、治療選択肢が限られる患者集団において、オロロフィムの治療的有用性を支持する一連のエビデンスに新たな知見を加えるものだ。アスペルギルス感染症に対する新たな治療選択肢となる可能性が期待される。
◆John Keller塩野義製薬取締役上席執行役員R&D管掌のコメント
抗真菌領域では20年以上にわたり十分な治療選択肢が提供されていない状況が続いている。OASIS試験の結果は、この領域における重要な進展を示すものと考えている。当社は感染症領域に注力する企業として、F2G社とのパートナーシップを通じて、新規作用機序を有する抗真菌薬の開発を推進し、アンメットメディカルニーズの高い疾患領域におけるイノベーションの創出に引き続き取り組んでいく。
◆Francesco Maria Lavino F2G社Chief Executive Officerのコメント
OASIS試験の結果は、F2G社および塩野義製薬との協働における重要なマイルストーンと位置付けている。これらの結果は、侵襲性アスペルギルス症を含む治療が困難な侵襲性真菌症の患者さんに対し、オロロフィムが新たな選択肢となり得る可能性を示している。本試験にご参加いただいた患者さん、治験責任医師の先生方、ならびにパートナーである塩野義製薬に深く感謝申し上げる。今後、詳細データを学会にて報告できることを楽しみにしている。
